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XC60のプロポーション
プロポーション的には、ショルダーラインの張りがボルボ伝統のディティールといえる。

ふたつめに、ディーゼルはクリーンか? という点だが、欧州で徐々に市街地から締め出されているディーゼルは、微粒子フィルターや尿素で排ガスを中和する技術が備わる以前の古いディーゼル車のことで、ユーロ6対応以降の現行ディーゼル車は00年代前半のユーロ3、4規制の頃とは比べ物にならないほど有害物質の排出は少ない。ちなみに現行の日本のポスト新長期規制は、ユーロ6並の数値を6年先取りするほど厳しかった。いわば欧州車のディーゼルが日本市場に入って来られるようになったのはつい最近のことで、実際に今次のXC60のD4パワーユニットには尿素による中和技術である「アドブルー」が備わっている。

もともとディーゼルは欧州Dセグメント以上のサルーン、都市間移動など長距離に使われることの多いアッパーミドル以上の重量級モデルで選ばれやすい傾向にあった。熱効率が高く、エネルギーあたりの燃費効率面でガソリンや電気より概して優れるディーゼルは、高速道路を巡航するような、一定のトルクを引き出し続けるような条件にことさら強いからだ。

とはいえ、同じ車格で今後にデビューを控えるサルーン、S60には、ボルボはディーゼルを積まないと明言している。エステートワゴンやSUVよりフォーマルスタイルで、街用途が前提のサルーンでは、ハイブリッドやガソリンを充てるという判断だろう。逆に、週末や休暇用途など、荷物や乗員の多い状況で使われやすいSUVやエステートでは、ディーゼルはまだその役目を終えていないという見立てである。要はハイブリッドから純EVまでパワートレインの電化は、相対する既存のガソリンやディーゼルとともに、ますます混在化する傾向で、ユーザーの需要と照らし合わせながら漸次的・段階的に進むものなのだ。

XC60に新たに加わったD4パワーユニット
XC60に新たに加わったD4パワーユニットは最大出力180ps、最大トルク380Nmを発揮する。

加えて新しいXC60では、D4のディーゼルユニットがAWDと組み合わされるようになった。1750rpmという低回転域から380Nmもの豊かなトルクを発生するD4は、アイシンAW製8速ATを介し、XC60の決して小さくはない体躯を滑らかに動かす。その走り出しは、T5などガソリンモデル以上に余裕を感じさせる。レスポンスに優れる小さいターボと、パワーの伸び感を支える大きいターボ、そんな得意な領域の異なる2基を協調制御する2ステージターボと、状況に応じてシリンダー内部の燃料噴射量を最適化する「i-ART」によって、欧州メーカーの2Lディーゼルの中でもD4はピカイチの仕事っぷりを見せる。スムーズで終始穏やかなエンジンフィールは、ボルボならではの優しく温もり感ある内装によく調和している。

今回の試乗車は+30万円のオプションとなるエアサス装着車で、複数のドライブモード切替が可能だった。コンフォートやノーマルを選んでおけば、余計な振動の少ないアイドリングストップ機能も相まって、街でのマナーはきわめてジェントル。一方、ひとたびワインディングでスポーツモードを選択すれば、ロールが抑えられてステアリングの正確さが増す。左右に切り返すような場面で、動きが明らかに締まる感覚だ。

白いレザーとドリフトウッド風の仕上げ、マットなアルミの質感が、温かみあるインテリア。

白いレザーとドリフトウッド風の仕上げ、マットなアルミの質感が、温かみあるインテリア。

シートは大ぶりでサポートもよく快適。ランオフロードプロテクションという、万が一の時に上下の衝撃を吸収する機構も備える。

シートは大ぶりでサポートもよく快適。ランオフロードプロテクションという、万が一の時に上下の衝撃を吸収する機構も備える。

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