矢部克已「ニッポン、いい店(ショップ)いい工場(ファクトリー)#4」岩手 – 東和プラム

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かつて、日本最高の仕立てと賞賛された、アパレルブランド「天神山」のスーツを生産していた工場は、近年、「東和プラム」として再出発し、新たな道を歩んでいる。スーツを仕立てるうえで何が最も大切なのか。その技術の礎を、岩手県の花巻で見た。

東和プラム

今月のいい工場(ファクトリー)
岩手 – 東和プラム

矢部克已さん

教えてくれる人
ファッションジャーナリスト
矢部克已さん

メンズファッション誌編集部を経て渡伊。本国の服飾文化を吸収して帰国。ピッティ・ウォモを欠かさずに取材。常に「ファッションの現場」が気になるいま、この連載に力を込める。

イタリア人モデリストが服づくりを徹底指南し、日本屈指の縫製工場に成長

極上の美と着用感をもたらす”純正かま襟”という秘技

多くの休耕地が広がる花巻市。JR新花巻駅から車で5分ほど走ると、赤い屋根の建物が見えた。のんびりとした土地に「東和プラム」は建つ。

【歴史】

名古屋に本社があったアパレル会社の「天神山」が、1972年に開いたジャケットづくり専用の工場「プラムイワテ」から、再スタートを切ったのが「東和プラム」である。なぜ、名古屋の会社が遠い東北の岩手県に縫製工場をつくったのか。ひとつの理由は誘致。もうひとつは、広い視野で見ると、地元の生活文化にもあるようだ。東北の主産業は農業だが、畑仕事をしながらも、手の空いた女性は、裁縫で稼いできた歴史がある。それが服づくりに適した土地の基盤となった。

(1)既製の工程でも、オーダーメイドのテーラーと変わらない、手作業でつくり上げるのが「東和プラム」の'純正かま襟'。アイロンで襟をプレスしながら、手の力加減で襟をグイグイと曲げていく。

(1)既製の工程でも、オーダーメイドのテーラーと変わらない、手作業でつくり上げるのが「東和プラム」の'純正かま襟'。アイロンで襟をプレスしながら、手の力加減で襟をグイグイと曲げていく。

(2)ラペルのハ刺し。専用のミシンを使用して縫製するが、ステッチの数は実に細かくて多い。ラペルの縁を薄く美しく、柔らかくするために端から1.5mmのところにステッチを掛ける。

(2)ラペルのハ刺し。専用のミシンを使用して縫製するが、ステッチの数は実に細かくて多い。ラペルの縁を薄く美しく、柔らかくするために端から1.5mmのところにステッチを掛ける。

(3)オーベルダンから直に指導を受けた、超ベテランの名職人が披露したのは、上襟の'はしごがけ'。上襟と後ろ身頃の端を重ねずに、生地を突き合せてジグザグに縫製。首回りの快適な着心地を実現する技術だ。

(3)オーベルダンから直に指導を受けた、超ベテランの名職人が披露したのは、上襟の'はしごがけ'。上襟と後ろ身頃の端を重ねずに、生地を突き合せてジグザグに縫製。首回りの快適な着心地を実現する技術だ。

(4)無地の生地は、裁断専用の機械CAM(キャム)を使う。一方、チェック柄は、生地がずれないように1枚ずつ手で裁断する。まさにオーダーメイド感覚である。

(4)無地の生地は、裁断専用の機械CAM(キャム)を使う。一方、チェック柄は、生地がずれないように1枚ずつ手で裁断する。まさにオーダーメイド感覚である。

<b>Good President!</b><hr style='margin-bottom:20px'>リーマンショックと東日本大震災に見舞われ受注の減少が続いた当時、紳士服業界に顔が広い菅谷幹雄さんが、「東和プラム」の社長に抜擢された。スーツの美を熟知した大ベテランである。

Good President!
リーマンショックと東日本大震災に見舞われ受注の減少が続いた当時、紳士服業界に顔が広い菅谷幹雄さんが、「東和プラム」の社長に抜擢された。スーツの美を熟知した大ベテランである。

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