実用性とは違った価値を古着に見出す
池田さんの話を聞けば聞くほど、ファッションアイテムの価値判断のおもしろさに気づかされる。一般的に古着の価値は需要と供給によって決定されている。ブランドの人気と品物の状態のバランスといってもいいだろう。これはファッションリサイクルでも、ネットオークションでも同じだ。が、池田さんは自身の買い物を「神田の古書店で本を探すようなもの」と例えた。
「かつての高級タイがいまは100円、場合によっては1円で買えることもある。昔のタイはこうなっていたのかとか、日本製の生地を使っているなど発見があります。こうしたものはいつの時代も忘れられてしまいがちです。正しい仕事を正しく紹介することが大切だと思います」。
池田さんのヴィンテージコレクションギャラリー(写真3枚)
古着を実用のものとして購入するのではなく、かつてのファッション製品が作られた背景や仕事ぶりを知るデータとして解釈する独自の視点は、まさに池田さんならでは。
「いま、新しいものを買い求めるのもいいでしょうし、たまにヴィンテージをつまんでみるのもおもしろいのでは? ファッションリサイクルにこれだけのものがあるのは、日本が高度経済成長期にいち早く先進国となったから。いまの中国や韓国のリサイクルショップに行っても、同じ状況ではないでしょうね」。
安い買い物を楽しむものと思い込んでいたファッションリサイクル。正直なところ、興味本位で始めた今回の取材だったが、専門家の視点から、学ぶところの多いものとなった。見方を変えればたんぽぽハウスはファッションの歴史を紐解く図書館のような一面を持っているといえるのかもしれない。
ヴァンベール/たんぽぽハウス 西葛西本店
住所:東京都江戸川区西葛西6-15-10
TEL:03-3675-3519
営業時間:10:00〜20:00 (買取受付は 〜17:00)
休:無休
http://haneq.co.jp/
撮影/久保田彩子 取材・文/川田剛史