いまやすっかりブームからジャンルに定着した、腕時計界の一大トレンド「ラグジュアリースポーツウォッチ(ラグスポ)」。入手困難な弩級モデルから、手の届くラグスポテイストモデルまでを1冊にまとめたバイヤーズガイド『ラグジュアリースポーツウォッチ大全』から、その中身をご紹介しよう。
ミニマリズムを極めたドレススタイルのブレスモデル
PARMIGIANI FLEURIER (パルミジャーニ・フルリエ)
トンダ PF マイクロローター

【SPEC INFORMATION】
ケースサイズ:40mm ケース素材:ステンレススティール+プラチナベゼル ブレスレット:ステンレススティール 巻き上げ:自動巻き 搭載キャリバー:Cal.PF703 防水性能:100m 振動数:毎時2万1600振動 パワーリザーブ:48時間
価格:370万7000円

デイトまで外したミニマルラグスポ
“黄金の手をもつ”稀代の時計師、ミシェル・パルミジャーニが自らの名を冠し、1996年に創業したパルミジャーニ・フルリエ。その類まれな技術力とアイデアを生かしたコンプリケーションウォッチの印象が強いこのブランドだが、2020年には「トンダ GT」を発表し、上品なスポーツ系モデルにも定評がある。今回紹介する「トンダ PF マイクロローター」ノーデイトモデルは、さらに進化したラグジュアリーを纏う1本だ。
イタリア語で“円”を意味する「トンダ」コレクションから2021年に登場した「トンダ PF マイクロローター」。不要なものをすべて取り除き、本質のみを生かす、というコンセプト通り、非常にシンプルな2針スタイルが特徴だったが、その最新作ではついに日付表示までも排した。またPFコレクションの特徴であるSSケースに“ローレット”と呼ばれる刻み加工を施したプラチナベゼルも印象的。シンプルな外観に個性的なエレガントテイストを加えており、シームレスに繋がるブレスレットを組み合わせ、ポリッシュ&サテンで上品に仕上げた。
日付表示を取り除いた文字盤は、繊細な針とインデックスを配したミニマルの極みとなるが、穏やかな“ゴールデン・シエナ”の色合いに“バーリーコーン(麦の穂)”と呼ばれる緻密なギョーシェを施した。こちらもピュアな個性を引き立てている。そして内部に搭載するのは自動巻きCal.PF703。プラチナ製マイクロローターを備えたこの3.07mm厚の極薄キャリバーの採用により、厚さわずか7.8mmという究極のドレス系ラグジュアリースポーツを実現させたのである。
パルミジャーニにとってドレスかスポーツかは意味のないことかもしれない。ただこのブランドの超越的な創造性が、繊細で静謐ながら極上のラグスポ感が漂う本作を生み出したのは間違いない。