ジェイエムウエストンの歴史を知る

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ジェイエムウエストンは1891年、エドゥアール・ブランシャールがフランス中部の街・リモージュに開いた工房からスタートした。当初はフランスの伝統的な靴作りを 行っていたが、創業後間もなく参加した息子・ユージェーヌによって、最初の変革がもたらされた。ユージェーヌはより近代的な靴作りを目指し、グッドイヤー製法を学ぶべく米マサチューセッツに渡る。

偉大なる仏トラッド誕生の裏に二人の男の出会いがあった

3年後帰国したユージェーヌによりジェイエムウエストンの靴作りの基盤が築かれる一方、彼と一人の男との出会いによってブランドの方向性が決定づけられた。その男はジャン・ヴィアールという人物で、ショーや演奏会を愛し、都会の生活を楽しむ粋人であった。純朴なリモージュの青年ユージェーヌと、パリの趣味人ジャンのニ人によって、剛健な作りと気品あるエスプリを備えたジェイエムウエストンの個性が形成されていったのである。

’22年、パリ・クルーセル大通りに一号店を、’32年にはシャンゼリゼにニ号店をオープンし、勢力を拡大していったジェイエムウエストン。助年代には定番の「180」口ーファーも登場し、現在クラシックラインとして展開される傑作たちが次々と生まれていった。’60年代には、ジーンズに素足で180を履くスタイルがパリの若者たちの問で大流行し、世代を超えてジェイエムウエストンの名靴が受け継がれていく。

靴作りの様子
創業当初の靴作り現場。ユージェーヌ・ブランシャールによってもたらされたグッドイヤー製法を基盤に、ジェイエムウエストンの靴作りは発展していった

職人たちリモージュの工場
創業当初のリモージュの工場。腕利きの職人を多数擁し、伝統の靴作りを現代まで忠実に継承してきた。

’80年代?’90年代には、鞣しエ場の買収やニューヨーク、日本でショップをオープンするなど、生産面・販売面での拡充を進めていったジェイエムウエストン。そして2001年には、気鋭の靴デザイナーであるミッシェル・ペリーをアーティスティックディレクターに迎え、モダンなコレクションを発表した。各国の直営店もリニューアルし、今日のプランドイメージが固まっていったのである。

現在のジェイエムウエストンには、半世紀を超える伝統靴と最新のモード靴が存在する。だが、両者に共通して息づいているのは、ユージェーヌとジャンの時代から続く”確かな作り”と”気品”。靴作りの本質ともいえるこのエッセンスを継承し続けているからこそ、ジェイエムウエストンは世代を超えて愛される名靴となり得るのだ。

アーティスティック ディレクター ミッシェル・ペリーが語るジェイエムウエストンの伝統と未来

ジェイエムウエストンの新たな時代を切り拓くミッシェル・ペリー。氏が考える理想の靴作り、そして今後のビジョンについて伺った。

M.E. ジェイエムウエストンのディレクターに就任された経緯はどのようなものだったのでしょうか?

ペリー ある日、ブランドからオファーを受けたのがきっかけですが、随分驚いた記憶があります。ジェイエムウエストンといえば非常に伝統的な靴メーカーで、私が作っていたのはもっとモードな靴でしたから。でも、私はただ新しいものではなく、伝統とモードをミックスするのが好きで、ジェイエムウエストンもその歴史ある伝統に新しい風を吹き込もうと試みていたことを知って、これはお互いにとってぴったりのコラボレーションだと思ったんです。

M.E. 実際にジェイエムウエストンの靴作りを見て、どのように思われましたか?

ペリー 昔のままの丁寧な靴作りを忠実に守り続けていることに感銘を受けました。現在では希少になってしまった”本当の靴作り”を目の当たりにしましたね。

M.E. これからの靴作りへの展望は?

ペリー 歴史が培ったノウハウを、時代のニーズとミックスさせることですね。偉大なクラシックラインと、私が作る新作を両輪として、ブランドをより完全なものにしていきたいです。クラシックを進化させて新作が生まれ、新作によってクラシックが再評価される。そんな循環を生み出せればと思っています。

「伝統作と新作の循環こそ私が目指すもの」

ミッシェル・ペリー
アーティスティック ディレクター
ミッシェル・ペリー
1949年生まれ。’87年に自らの名を冠したブランドを始動させ人気を博す。2001年よりジェイエムウエストンに参画。

2024

VOL.341

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