SARTORIA SOLITO(サルトリア ソリート)
父から子へ、軽やかさの品格がソリートの矜持

[上]Luigi Solito(ルイージ・ソリート氏)
[下]Gennaro Solito(ジェンナーロ・ソリート氏)
現役サルトの中で、ナポリで最も偉大なマエストロのひとりである父ジェンナーロ氏は、1945年生まれ。息子のルイージ氏は1977年生まれで、1994年からソリートに入る。師匠である父のカットの流れを汲みつつ、随所を若々しくアレンジしたカットが特徴。
ナポリの中でも肩肘張らないスポーティな雰囲気を纏う服
イタリア四大カフェのひとつ、ベル・エポックの栄華を今に映すグランカッフェ ガンブリヌスを背に、ナポリ随一の賑わいを見せるトレド通りを進むと、壮麗なドームと大理石の光が交錯するガッレリア ウンベルト1世が右手に現れる。その向かい、16世紀に建てられた由緒あるパラッツォ・ベリオの一角に、ソリート親子のサルトリアはある。
「私はスペイン地区の生まれで街の“スグニッツォ(いたずら子)”のひとり。この街は、確かに難しさも抱えています。けれども同時に、寛大で、忍耐強く、親しみにあふれ、陽気で、深い歴史の香りに包まれている。いま、世界中から多くの人々がこの街を訪れてくれるようになったことを、本当に誇りに思っています」と、息子のルイージ氏は穏やかに語る。父ジェンナーロ氏は今年80歳を迎えた。私は彼と出会ってから20年ほどになるが、その仕事ぶりは当時と変わらない。いつもの定位置で、ハサミと重たいアイロンを交互に動かし、黙々と手を進めている。サルトの仕事、そして人生とは、一本のまっすぐな道をただ前へと歩み続けること。そこに、静かな幸福があるのだと改めて感じさせられる。
世界にその名を知られるソリートだが、サルトリアはとても質素だ。彼らの悦びは華やかなサルトリアをつくることではなく、美しい服を仕立てることにある。スペイン地区をルーツにもつ彼らの服は、軽やかで、気取らず、どこかスポーティ。ルイージ氏が語ったようなナポリの多面性が、ギュッと凝縮されているのだ。

DATA
ナポリの中心部にサルトリアを構える。ふたりは今日のサルトリア ナポレターナにおいて最も象徴的な親子だ。ルイージのアトリエは、ひとつ上階にある。スーツ€3,500~。
Via Toledo, 256 80132 Napoli
TEL.+39 081 414095
URL:https://www.sartoriasolito.it
撮影・コーディネイト・構成・文=藤田雄宏〈AFTERHOURS〉
[MEN’S EX Winter 2026の記事を再構成]





