履きこんでわかった名靴の真価、私の”思い出”エドワード グリーン

本当に良い靴とは何かを教えてくれた

本格シューリペアのバイオニアであり第一人者として知られる中川一康氏は、英国フリークとしても有名だ。

「カルチャーが好きですね。以前はピストルズなんかをよく聴いていましたし、ハービー・山口さんの写真集もお気に入り。ファッションもどっぷり英国スタイルです。カジュアルウェアもスーツも、鞄も、もちろん靴も。靴は若いときから大好きでいろいろ買いましたけれど、当時はジョージ・コックスやドクターマーチン、トリッカーズなんかを履いていました。グリーンはまだ早いかな、なんてそのときは思ってましたね。高くて手が出なかったですし(笑)」

そんな中川氏が初めてエドワード グリーンに触れたのは30歳のとき。

中川一康さん
ユニオンワークス代表 中川一康さん
’65年生まれ。現在4店舗を構えるユニオンワークスの代表にして本格靴修理業界の牽引者。

「最初は結構タイトで、『痛いなー』なんて思ってたんですけど、3ケ月も経つとそれが足にびったりと吸い付くような感触に変わってきました。ビックリしましたね。”良い靴”とはこういうものか、とそのとき初めて知ったような気がしました」

雑誌に登場するときはスーツを着用することも多い氏だが、その足元は大抵エドワード グリーンだという。写真の一足も、5年ほど前スーツスタイル用にと入手したものだそうだ。

決して邪魔せずしっかり支える”執事”のような靴

中川氏は、グリーンのドレス靴を「優秀な執事」と称する。

「カズオ・イシグ口の小説『日の名残り』の、スティーブンス執事のイメージがびったりくる靴だと思っています。履き手を決して邪魔せず、粛々と仕えてくれる。修理に持ち込まれた靴をバラしてみると、それが実直で丁寧な作りに由来していることがわかります。本当に良く出来た靴ですよ。修理する側が緊張するほど。最近、改めてグリーンの魅力を深く感じるようになりました。40代後半に差し掛かって、ちょっと枯れてきたからですかね。僕は、感性の”第三次成長期”だと思ってますけど(笑)」

ローズベリー
ロンドンで購入したという、Vフロントの外羽根プレーントウ。抑制の効いた控えめなデザインがスーツに最適とのこと。「履き心地は”しっとり”した感触といいますか、非常に柔らかく吸い付くような感覚。最高です」と中川氏。

世界に一足だけ!も実現できるパターンオーダー

エドワード グリーンではパターンオーダーも常時受け付けている。アッパー、ラスト、ソール、サイズを組み合わせて選べるので、現在既製では展開のないラストやデザインの靴もオーダーすることが可能。「細身な808ラストのチェルシー」、「202ラストのクラシックなアスキス」など、既製とは履き心地や表情の違う定番モデルを作ることもできる。

アッパー見本
約80種類のアッパーは、世界の著名タンナーから厳選した最高品質のものが揃う。

さらに、ウィズが自由に選択できるのもポイント。イマイチ足に合わない……と諦めていたラストも、ウィズを変えてフィットさせることができるのだ。アッパーやソールも非常に豊富。ファンなら一度は体験しておきたい。(問)エドワード グリーン 銀座店 ☎03-3573-6055

ジェイエムウエストンのスペシャルオーダーでつくったプレーントウ
ソールはレザーに加え、リッジウェイ、ダイナイトなどラバー系も充実。

2025

VOL.343

Winter

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