価格でも、速さでもない
エグゼクティブがラグジュアリーカーを選ぶ20の理由
高価であること。速いこと。豪華であること。もちろん、それもラグジュアリーカーを形づくる要素だ。
けれど、一台を選ぶ理由はそれだけではない。受け継がれてきた歴史、遠くまで走りたくなる心地よさ、自分だけのために仕立てる愉しみ、名車に宿る希少性や来歴。そして、そのクルマだからこそ出会える特別な体験や文化まで。何を買うかではなく、何を理由に選ぶのか。
エグゼクティブのための、いまのラグジュアリーカー選びを20の視点から考える。
【II】CHOICE 自分の価値観で選ぶ
(6)3ペダルだからこその一体感
速さだけを求めるなら、もはやマニュアルトランスミッションに合理性はない。それでもフェラーリやマクラーレンが相次いでMTという体験を提案するのは、操作する愉しさに価値が戻ってきたからだ。クラッチを踏み、ギアを選び、自分の手でリズムをつくる。数字では測れない人馬一体感を味わうことが、改めて贅沢になっている。MTを操る所作も、大人の嗜みと言えるのかもしれない。
8速DCTをベースに、3ペダルとHパターンのシフトレバーで6速MTのように操る12チリンドリ・マニュアル。機械式MTとは成り立ちが異なるが、クラッチを踏み、自ら変速する一連の所作を跳ね馬で楽しめるのが面白い。ピュアなMTを知らない世代にとっても、クルマと対話する感覚を知る入口になる。速さではなく、操る時間そのものに価値を置いた一台だ。価格59万ユーロ〜(フェラーリ・ジャパン)
911は性能を進化させ続けながら、マニュアルトランスミッションという選択肢を守ってきた。カレラTでは、速さを競うためだけではなく、クラッチを踏み、ギアを選ぶ行為そのものがドライブの愉しさになる。サーキットのタイムでは測れない、クルマとの距離の近さ。3ペダルで操るからこそ、911本来の軽快さと濃密さを味わえる。価格2004万円~(ポルシェコンタクト)
[MEN’S EX Autumn 2026の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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