[ブランド学/1]
ブランド創立50周年、その軌跡を考える
アルマーニはなぜいつの時代でも“憧れ”であり続けるのか
帝王と称され、現代メンズファッションに絶大な影響を与えてきたアルマーニ氏。ブランド創立から半世紀を経ても、人々を魅了し続けたその美学の核を探る。
横断する美学
アルマーニ氏の活躍の舞台
アルマーニ氏の活動の場は服のみにとどまらず、幅広く多岐にわたる。映画・建築・社会貢献まで、横断するその活躍の舞台を辿る。
In Architect
ファッションの枠を超えて建築・デザインとの協業
安藤忠雄氏とタッグを組んだ建築作品に見るミニマリズム
アルマーニ氏がタッグを組んだ一流のクリエイターは写真家だけにとどまらない。建築家・安藤忠雄氏が設計を担い、「アルマーニ/カーザ」が内装を監修する協業は、服づくりの感覚を部屋のつくりや動線、手触りにまで落とし込んだ好例だ。

ドバイ・パーム・ジュメイラに2026年に完成予定の「アルマーニ ビーチ レジデンス」は画期的なデザインによる高層住宅。強い日差しと海風に合わせ、コンクリートとガラスで素直に輪郭を描き、連続する庇や広いテラスで陰影を整える。室内はシックな色調と素材で統一され、日々の生活を快適に過ごせるような動線が計算されている。リゾート感はありながら、浮わつかず控えめで品のあるムードが漂う。また、ミラノのショー会場「アルマーニ/テアトロ」も、安藤氏による設計。可動壁と直線的な空間、必要最小限の照明・音響で、どの席からでもモデルの歩幅や服のシルエットの起伏が見やすいよう計算されている。観客の視線は自然とランウェイへ集まり、服そのものが主役になる。

両プロジェクトに通じるのは、装飾で彩るよりも、構造を整えるということ。派手な色より素材の質感を生かし、過度な主張より余白で魅せることが徹底されている。ファッション以外のジャンルにおいても、アルマーニ氏が大切にしているミニマリズムが貫かれているのだ。
[MEN’S EX Autumn 2025の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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