今、世界のワインのトレンドは「サステナブル」そして「環境保護」が主流となっている。特にそのエリアのワインをリードする著名なワイナリーほどその動きは顕著だ。それもすべては最高のワインを生み出すため。今回紹介する、1973年、米国・カリフォルニア州に設立されたジョセフ フェルプス ヴィンヤーズもその一軒だ。
ジョセフ フェルプス ヴィンヤーズは各ヴィンテージから最高のものを造るというビジョンのもと、ナパ ヴァレーとソノマ コーストにある自社のブドウ畑を丁寧に時間をかけて築き上げてきた。創業者であるジョセフ・フェルプス氏は、カベルネ ソーヴィニヨンとローヌスタイルのボトルでワイナリーの初期の評判を高めてきた。
最高品質のワインを造るというこのビジョンは、1本1本のボトルの中で後世のために継承され、高められ、守られており、そのことが、世界でも傑出したワインエステートの一つとしてのジョセフ フェルプス ヴィンヤーズの地位を確実なものにしている。
現在では、ブドウ園での環境保護活動を促進強化し続けている。今年、メゾン プレジデントのデイヴィッド・ピアソン氏は「ジョセフ フェルプスは、創始者にインスパイアされ、ワイン造りへの情熱を持った人々が造り上げる、エレガントな中にも複雑さを持った素晴らしいワインです。私は長年のワイン造りを通して、自然へのリスペクト、長年の熟成を待ちわびる根気強さ、そして何事にも通じるバランスの良さを学びました。多くの皆様にジョセフ フェルプスを愛していただけるよう、ワイナリーの伝統やレガシーを大切にしつつ、これからも革新的なワイン造りを続けていきたいと思っています。」と語った。
建設業界で名の知れた存在でありワイン醸造家でもあったジョセフ・フェルプス氏が、当時未開拓であったアメリカ カリフォルニア州、ナパ ヴァレーの荒野に自らの名を冠したワイナリーを設立したことからその歴史は始まる。
ワイン業界とは無縁だった彼がワイン造りを一から学び、真っさらな土地を夢いっぱいに開拓し、熱意をこめて植樹し、卓越性を追求したワイン造りを目指したことが、現在のジョセフ フェルプス ヴィンヤーズのブドウ畑へと繋がっている。このような畑を重視する姿勢から、環境を守ることを目的とした持続可能なガイドラインに基づき、常に環境に配慮されたブドウ栽培に取り組んでいるのだ。
具体的には、ブドウ園はすべて、「フィッシュ・フレンドリー・ファーミング」または「ナパ・グリーン」の認定を受けている、もしくは認定取得を進めている。また、セントヘレナにあるホームランチ(牧場)や他のブドウ園には、オリーブや果樹が植えられ、地域の生物多様性を促進している。
さらに、ブドウ畑には、梟やブルーバードのための巣箱を設置し、自然な鳥の生息を促しているのだ。
収穫時のブドウの皮や茎、ワイナリーのレストランで発生する残り物を堆肥化し、土壌に栄養を供給するために再利用したり、ナパ ヴァレーのワイナリーではソーラーパネルを設置したりしているのも特徴だ。
再生農法にも積極的に取り組んでいる。土壌の健全性を高め、生物多様性を促進し、総合的な持続可能性を向上。カバークロップ(被覆作物)、減耕作、微生物や真菌の活性化を通じて、効率的な水管理と炭素隔離を促進しながら、豊かな生態系を創造しているのだ。
そんなジョセフ フェルプス ヴィンヤーズの代表作をご紹介しよう。
INSIGNIA(インシグニア)
カベルネ ソーヴィニヨンやメルロなど品種別に製造されたワインが一般的であったカリフォルニアにおいて、数種類のブドウをボルドースタイルで独自にブレンドした、プロプライエタリー・レッドという新たなジャンルを切り開いたョセフ フェルプス ヴィンヤーズ。カリフォルニア初となったボルドーブレンドのワインが「インシグニア」だ。
赤い果実、クレームドカシス、葉タバコの香り、そして繊細なバラの花びらの力強いアロマが感じられる。味わいはジューシーで濃厚。ブラックベリー、ラズベリー、カシス、ダークチョレートの表情豊かな風味が広がる。魅惑的なエネルギー、余韻の長さ、複雑さ、上品さを備えたダイナミックなワインだ。
CABERNET SAUVIGNON(カベルネ ソーヴィニヨン)
こちらは設立当初から作られ、クラシックなナパ ヴァレーの特徴を持つワイン。スミレ、ダークフルーツ、タバコ、ほのかなベーキングスパイス、土っぽいドライハーブの香りが感じ取れる。味わいは表情豊かなブラックチェリー、ブラックベリー、ダークプラム、スパイスボックス、甘いバニラビーンズのニュアンスが広がる。若々しくフレッシュなエネルギーと、しなやかなタンニンのストラクチャー、フィネス(精妙さ)が軽快なバランスを保つ、凝縮したワインだ。
創業者の情熱、カリフォルニアの大地に思いをはせながら、パイオニア精神と卓越性を体現したジョセフ フェルプス ヴィンヤーズのワインをぜひ味わっていただきたい。