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半円のムーブメント自体がローターのごとく回転
宙空に浮かぶ針と一体型ローターが織りなす神秘
カルティエが昨年発表した「マス ミステリユーズ」は、110年以上前に自社で開発した「ミステリークロック」をルーツとするが、この“ミステリー”の名は針が透明なクロック内に浮かんで見えることに由来する。「モデルA」と名付けられた初代ミステリークロックが誕生したのは1912年。ルイ・カルティエと同社専属の時計職人モーリス・クーエが作り上げたその時計は、針をムーブメントに直接つなぐのではなく、金属製の鋸歯状の縁を備えた2枚の水晶盤に固定するという画期的アイデアを具現することで生まれた。同クロックはのちに『ガゼット デュ ボン トン』誌から“時計製造の奇跡”とまで評された歴史的名作である。
この名作を受け継いだ「マス ミステリユーズ」でも、針はやはりムーブメントの輪列とは直に接続されていない。透明なガラスのケース内に時針と分針が吊り下げられ、それらがまるで宙に浮かぶかのようにムーブメントから完全に切り離された状態で回転しているように見える。おそらくサファイアディスクを通して何らかの形で接続されているものと思われるが、この仕組みは長年トップシークレットとして厳重に管理されており、正式には公にされていないのだ。
さらに本作を“ミステリー”たらしめるものがCal.9801 MCの存在である。同ムーブメントは独創的な半円状に設計され、主要な輪列と機構はすべてこの中に納められている。そして驚くことに、ムーブメント自体が両方向に回転することで巻き上げを行うのだ。この一体型構造は“ミステリーローター”と呼ばれ、独自システムによって時間表示とローターは連結されず、またテンプが常に垂直姿勢をとり続けるため、回転中も高精度が保たれるのである。透明な空間内でスケルトン化された半円ムーブメントが自在に動く様子はまさに神秘だ。
この機構が凄い!
【Point 1】
輪列に接続せず宙に浮かんだ針文字盤中央に設置された時分針は、いっけんローター一体型ムーブメントにつながっているように見えるが、ムーブメント輪列とはいっさい接続されていない。この針がケース内で宙に浮くかのように見える状態こそ、“ミステリー”の“ミステリー”たるゆえんである。
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【Point 1】
輪列に接続せず宙に浮かんだ針
文字盤中央に設置された時分針は、いっけんローター一体型ムーブメントにつながっているように見えるが、ムーブメント輪列とはいっさい接続されていない。この針がケース内で宙に浮くかのように見える状態こそ、“ミステリー”の“ミステリー”たるゆえんである。
【Point 2】
半円状のムーブメントスケルトン文字盤に浮かぶ自社製自動巻きCal.9801 MC。文字盤のちょうど半分を占める半円状に設計されており、残りの半分を透明にすることで本作のミステリアスさを引き立てる。非常にコンパクトな設計だが、42時間パワーリザーブなど高い性能を発揮する。
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【Point 2】
半円状のムーブメント
スケルトン文字盤に浮かぶ自社製自動巻きCal.9801 MC。文字盤のちょうど半分を占める半円状に設計されており、残りの半分を透明にすることで本作のミステリアスさを引き立てる。非常にコンパクトな設計だが、42時間パワーリザーブなど高い性能を発揮する。
【Point 3】
ムーブメント自体が回転ローターの役割半円の個性的形状とともに、Cal.9801 MCのさらなる特徴はローターと一体型の構造であること。「ミステリーローター」と呼ばれるこのムーブメント自体がケース内で回転運動を行うことにより、そのエネルギーが機構内の主ゼンマイに蓄積されて時計が稼働する。
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【Point 3】
ムーブメント自体が回転ローターの役割
半円の個性的形状とともに、Cal.9801 MCのさらなる特徴はローターと一体型の構造であること。「ミステリーローター」と呼ばれるこのムーブメント自体がケース内で回転運動を行うことにより、そのエネルギーが機構内の主ゼンマイに蓄積されて時計が稼働する。
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※表示価格は本書発売時(2023年9月1日現在)の税込み価格です