ランデヴー オー グローブ デザイナーの前淵俊介さんが語る「クラフツマンシップ」とは?

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それは、日常に寄り添うラグジュアリー
美しきクラフツマンシップ。

美しきクラフツマンシップ。バナー

talks about “world’s craftsmanship”
Shunsuke MAEBUCHI

我が人生の喜びは、クラフトがもたらす“ワクワク”との出会い。

一番の趣味はなんですか?と訊かれたら、迷わず“買い物”と答えます。それは私にとって大いなる愉しみであると同時に、生業でもあるからです。ここランデヴー オー グローブには、世界中から私が仕入れた逸品を並べています。有名・無名を問わず、私が個人的に“これを買いたい!”と心底惚れたものばかり。普通は仕事の買い付けなら“バイイング”、プライベートなら“買い物”と使い分けますが、私の場合、両者はほとんど同じ意味なのです。その際、セレクトの基準となるもののひとつがクラフツマンシップ。流行は移ろいますが、手仕事の美しさは決して色あせることがない。使って心地よく、所有する満足をもたらしてくれる。人生を楽しくしてくれる力が、クラフツマンシップには秘められていると思います。

私にとって欠かせないもの。それは“旅”です。かつては年間200日を海外で過ごしたこともありましたし、今でもフランス、イタリア、アメリカなど様々な国へ赴きます。プライベートではタイが好きですね。そしてどの国を訪れても、私の買い物熱が収まることはありません。パリの蚤の市、アメリカのネイティブアクセサリー工房、観光客はまず訪れない、タイの山奥の村……世界はいたるところに“欲しいクラフツマンシップ”があふれていて、それらに出会うたびに思わず心が躍ってしまいます。世界を巡って、買い物/バイイングという宝探しをしているともいえますね。これが私のライフワークなのです。

クラフツマンシップを宿したモノは、手入れを繰り返しながら長く愛用できるのが魅力……それは確かにそのとおりなのですが、個人的には少し違うところに真骨頂を感じます。クラフツマンシップには人の手が欠かせませんが、作り手は有限で、作れるものの数も決まっている。そして技術がひとたび失われてしまうと、まず蘇ることはない。だから、“使い続けられること”よりも、“永遠ではないこと”に惹かれるのです。見た瞬間に強烈な魅力にとりつかれて、たまらなく欲しくなる。その引力にこそ、クラフツマンシップの醍醐味を感じるのです。なので、使うことや身につけることよりも、それを手に入れること、所有すること自体が私にとってのハイライトといえるのかもしれませんね。

コロナ禍を経て、モノへの興味が薄れてきているという話も耳にします。しかし私の“欲しい”衝動はかつてと全く変わらないですし、ランデヴー オー グローブにいらっしゃるお客様たちも同じようです。インターネットやSNSで世界中のあらゆるものごとを検索できるようになった今でも、我々の知らないクラフツマンシップはそこかしこに潜んでいる。それらを探し求め、目を見張るような技に出会ったときのワクワク。それが我が人生の喜びなのです。

何十年とクラフツマンシップの魅力に取りつかれてきましたが、それでも次々と欲しいものが出てきます。それらを手に入れたい。知られざる逸品をもっと発見したい。そんな情熱を湧き起こさせてくれるのがクラフツマンシップですし、ひいてはそれが、私の毎日を最高に楽しくしてくれるのです。(談・前淵俊介)

シャツとタイはオリジナル ベルトは米国のサンタフェにかつてショップを構えていた「ジェームス・リード」のもの

ベルトは米国のサンタフェにかつてショップを構えていた「ジェームス・リード」のもの。「製作しているのは先住民の職人なんですが、ジェームスのデザインでモダンに仕上げているところが魅力でした。今はなきブランドなのが残念です」。ナイフは20年以上前に海外で購入したポルシェデザイン。「911を生んだF・A・ポルシェのデザインによるものです。やはり造形美が素晴らしいのと、この時代のものは日本製なんですよね。製作した職人の銘も入っています」。

シャツとタイはオリジナルで、それぞれギ ローバーとステファノ カウが製作を担当。「シャツはウチの型紙を持ち込んで作ったもので、クラシコとは一味違うオーバーサイズ感に仕上げました。タイは7つ折りで、剣先をスクエアにしているのがポイントです」これらは現在も購入可能。シャツ各3万5200円、タイ各2万7500円(ランデヴー オー グローブ)

靴はショップの10周年記念としてイタリアのグイディ アンド ロゼリーニに別注したもの。「彼らはタンナーでもあるので、革から作り込みました。米国製を超える最高峰コードバンを作ろうと計画したのですが、この厚みといいツヤといい、さすがの仕上がりです。ちなみに4/13〜15に当店で初のグイディ アンド ロゼリーニ トランクショーを行いますので是非ご注目ください」。こちらも購入可能。19万8000円(ランデヴー オー グローブ)

前淵俊介さん

前淵俊介
1963年生まれ。シップスのディレクター兼バイヤーとしてマルセルラサンスの日本上陸を実現させる。2012年に独立し「rdv o globe」をオープン。オリジナルアイテムも製作し、海外へも展開している。




[MEN’S EX Spring 2023の記事を再構成]
※表示価格は税込み。

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