以前のクォリティレベルとは決別した
マセラティのプロダクトははっきりと変わった。見て触って乗ってみたならば、誰もがそうと分かるくらい変貌した。オーナーには大変申し訳ない話だけれども、ギブリやレヴァンテに比べるとハイエンドモデルとしての質が格段に上がっているのだ。
いつから変わったのか? MC20の登場からだ。ただしMC20はその全量をモデナの工場で念入りに組み立てられる“工芸品”で、価格的にも生産量的にも欲しいと言ってすぐに買える代物ではない。工業製品=誰もが買うことのできるマセラティではレヴァンテの妹分である第2のSUV、グレカーレがその節目であると言っていい。
日本でも発表済みのグレカーレ。3グレードが発表され、デリバリーは来春と言われている。グレードラインアップは、GT(862万円、300ps)・MODENA(1046万円、330ps)・TROFEO(1395万円、530ps)で、出力差を見ても想像できる通り、前2グレードが2リッター4気筒のマイルドハイブリッド(48VのBSG)であるのに対して、トロフェオは3リッターV6ツインターボ“ネットゥーノ”エンジンを積む高性能グレードだ。
また今回、マセラティのモデナ工場を訪ねたところ、至るところに偽装を施したグレカーレのフルバッテリー電気自動車(BEV)が停まっていた。来年にも発表されるフォルゴーレである。
グレカーレはアルファ ロメオも使うグループのFRプラットフォーム“ジョルジョ”をベースに開発された。ちなみにジョルジョプラットフォームそのものもモデナの生まれ。そう、マセラティは今後、これまでよりいっそう“モデナ色”を強めていく。イタリア屈指のモータウン(彼らはモーターヴァレーと呼んでいる)で生まれたという個性をもって挑むべきライバルはずばり、ポルシェ マカン。マセラティとしては最大の収益源としたいモデルでもあり、それゆえ「以前のクォリティレベルとは決別した」(マセラティ社幹部談)というほどの変わりようなのだった。