最も身近な複雑時計であり、デザイン性も高く、メカ好きからファッション好きまでを魅了するクロノグラフ。そんなクロノグラフ180本を紹介するバイヤーズガイド『超本格クロノグラフ大全』から、その中身をピックアップしてご紹介。
【注目のクロノグラフ】
スピードマスター ムーンウォッチ マスター クロノメーター
OMEGA(オメガ)
新世代ムーブメントを搭載した唯一無二のムーンウォッチ
オメガのみならず、時計界を代表するクロノグラフとなる「スピードマスター」。本来モータースポーツ用に開発されたこのモデルは、持ち前の性能の高さと強靭な作りによって新たな運命を切り開いた。1965年、NASAの過酷なテストをクリアし、宇宙飛行士の公式装備品に採用。’69年のアポロ11号による人類初月面着陸をはじめ、宇宙における数々の偉業に同行したことで、“ムーンウォッチ”の称号とともに伝説となった。
スピードマスターは’57年の誕生以来、基本デザインはそのままに、ディテールや搭載ムーブメントの進化によって世代交代を果たしてきた。2021年発表の新作が採用したのは現行モデルの土台を確立した第4世代デザイン、すなわち月面着陸で着用された象徴的なデザインに着想したものである。本作が非常にユニークなのは、風防素材に現代的なサファイアクリスタルと、往年のモデルを彷彿させるへサライトガラス(強化プラスティック)の2種類を用意すること。前者は裏側も現代的なサファイアシースルーバック、後者はヴィンテージ風なシーホースの刻印入りソリッドバックとなる。往年デザインの復刻はそれだけではなく、文字盤は外周と内周で段差を設けたステップ仕様に。先端が菱形のクロノ針や、タキメーターベゼルの“90”の上と“70”の斜め下にドットを配した「ドットオーバー90」「ドットダイアゴナル70」もヴィンテージファンにはうれしい仕様だろう。
一方、内部には新キャリバー3861を搭載。ついに手巻きのスピードマスターも、高精度かつ1万5000ガウスもの高耐磁性を備えたマスター クロノメーターに進化した。さらにブレスレットもよりしなやかにフィットするタイプに変更され、バックルのデザインも一新。歴史的モデルに忠実なデザインが最新機構で堪能できる待望の新作である。
ムーブメントがマスター クロノメーターのCal.3861に変更
搭載ムーブメントが手巻きの最新キャリバー3861に変更。コーアクシャル脱進機を採用し、1万5000ガウスの耐磁性をもつMETAS認定のマスター クロノメーター仕様となる。