綿谷画伯が惚れた「純国産ツイード」とは?【全3回連載/中編】

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[The STORY 02]初の純国産ツイードTHE J.SHEPHERDSとは――――
「ハリコシの強い貴重な羊毛は 厚みがあり、素朴な風合い」

ハリコシの強い貴重な羊毛は 厚みがあり、素朴な風合い

今まで捨てられていた上質な羊毛がツイードに

では本場英国の生地にも明るい画伯を唸らせたTHE J.SHEPHERDSとは一体どのような生地ブランドなのだろうか。まだスタートして間もない同ブランドについて、まず紹介しよう。

THE J.SHEPHERDSを展開する国島株式会社は、尾州こと愛知県尾張一宮にある毛織物メーカーだ。その歴史は古く、前身である国島商店が創業したのは1850年と、創業より170年以上続く老舗中の老舗だ。そんな同社が日本の牧羊業を救う一大プロジェクトをスタートさせたことが、このツイードが誕生したきっかけだ。

牧場の羊たち。

現在、日本で飼育されている羊の数は約1万7千頭(その中の約1万頭が北海道)。オーストラリアの約7000万頭、中国の約1億6000万頭と比べると、いかに日本の牧羊業の規模が小さいかが分かる。そして実は、羊毛となるとそのほとんどが活かされていないのだ。日本の牧羊業の中心である北海道の羊でも、サフォーク種を中心にポールドーセット種など様々な種類の羊がいながら、ほとんど食肉生産のみに利用され、毛の9割は廃棄されてきた。特にポールドーセット種はコシハリの強い貴重な羊毛であるが、同じく廃棄されてしまっていたのだ。

このように羊毛が廃棄されてきたのは、毛刈り後の工程と物流に莫大なコストがかかったからだ。さらに羊毛には泥や油が付着しており、羊毛としての商品化を困難にしていたという問題があり、上質な羊毛も今まで泣く泣く捨てられていた。

工場内。

そんななか立ち上がったのが、国島株式会社の社長である伊藤核太郎さんだった。日本各地の羊毛輸入業社や毛刈り職人など旧知の仕事仲間に協力をあおぎ、毛刈りの技術や選別や管理の知識を、各地の牧場で共有して広めていった。そして、捨てられていた原毛を商品化したうえで、羊毛を国島が買い取るという物流の流れを整えたのだ。そして買い取った羊毛を、愛知県一宮市の自社工場で織り上げ、原料生産から製品生産・販売までのすべてのプロセスを日本で行った、初めての純国産ツイード、THE J.SHEPHERDSが誕生した。

しかも、このツイードは、洗毛過程で化学染料を使わない100%オーガニックなもの。日本の羊毛の特徴である、豊かなクリンプから生まれるふくらみ感を活かすため、化炭処理の工程を経ず、お湯だけで洗われているのだ。この手間のかかる工程により、かつてツイードが生まれた頃のような、弾力とハリ感がある、ヴィンテージツイードのような風合いが実現されているのだ。

2024

VOL.341

Spring

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