防水ケースがなければダイバーズは始まらない、その原点とは?

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 DIVER’S WATCHES COLUMN 

ダイバーズウォッチの礎となった
防水ケースのはじまり

時計の最大の天敵である水から内部機構を守るウォータープルーフのケース。今では当たり前の高防水スタイルは、各社による長年の苦心のすえに生まれた。



斬新な2重構造の角型防水ケース

斬新な2重構造の角型防水ケース
1932年に登場したオメガ「マリーン」。ミドルケースをリューズごとアウターケースで覆い、レバーでロックする特殊2重構造により、それまで不可能とされていた角型での防水仕様を実現した。



各々のケース形状に合わせた独自の防水スタイルを開発

現在ではごく普通に採用される時計の防水ケース。大多数のモデルが日常生活防水(3気圧)以上の防水性を備えている。だが、それは今でこその話であって当初からそうであったわけではない。

そもそもなぜ防水ケースが必要かといえば、ムーブメントにとって最大の敵は水だからだ。精密に作動しあう輪列機構だけに、いったん水が入り込むと正常な機能は見込めなくなる。とくに塩分を含んだ海水は致命的なダメージを及ぼす。腕時計が誕生した20世紀以降、いかにケース内への水の浸入を防ぎ、時計が機能不全に陥るのを回避するか、この課題に全時計メーカーが頭を悩ませていた。

いちばん初めに最適解といえるものを提示してみせたのはロレックスだった。金属の塊から削り出した接ぎ目のない外殻に、裏蓋をスクリューの要領でねじ込み、リューズも同じくねじ込み式に。これで格段に気密・水密性を高めたケースは、ロレックスの創立者ハンス・ウイルスドルフが“オイスター”の名で1926年に特許を取得した。ラウンド型防水ケースの先駆けにして、現在も規範となり続けるスタイルである。

一方、これとは異なるアプローチで時計の防水に挑んだのがオメガの「マリーン」(1932年)だ。当時よりエレガントなドレス時計として好まれていた角型だが、この形状はどうしても4隅が脆弱となり、また丸型のように裏蓋もねじ込めないため、防水は無理だと思われていた。しかし本作では、ムーブメントを収めたケースの外側にもうひとつのケースを備え、12時位置のリューズごとすっぽりとカバー。これをレバーで固定して密閉性を高める特殊2重ケース構造を考案した。丸型ほどの高防水は見込めないものの、角型での防水ケースは画期的だった。

現行も受け継ぐ特殊プロテクター

現行も受け継ぐ特殊プロテクター
パネライがイタリア海軍特殊部隊向けに開発した軍用時計。アーチ型プロテクターのレバーでリューズをケースに密着させるスタイルは現在も継承され、「ルミノール1950」の原型ともなっている。

そして、これらとは別に極秘に時計の防水化を進めていたのがパネライである。同社が1938年にイタリア海軍に納入した「ラジオミール」は、堅牢なクッション型ケースにねじ込み式リューズを備え、高い防水性を確保。また’40年代には、大型プロテクター内に組み込んだレバーでリューズを固定する機構も生み出し、秘密裏に独自の防水ケースを模索した。

各社が努力を重ねて生んだ防水ケース。その道はやがてダイバーズへと繋がる。



 

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