高性能モデルゆえのデメリットは見当たらない
同じことはRS6アバントについてもいえる。とりわけ新型は日本仕様でもエアサスペンションが標準装備となり、足回りのしなやかさがさらに向上。もはや高性能モデルゆえのデメリットはまったく見当たらないといってもいいほどだ。
この柔軟な足回りが、高速道路ではバツグンの安定性を示し、ドライバーはハンドルに軽く手を添えているだけでも矢のように直進していく。さらにワインディングロードに足を踏み入れれば、コーナーの進入で俊敏にノーズの向きを変えてくれるにもかかわらず、脱出に向けてアクセルペダルを踏み出せばエンジンのパワーが4輪に分散されて路面に伝えられるため、クルマの姿勢変化はごくわずか。高性能な後輪駆動車であれば後輪がスリップしてもおかしくないような急加速を試しても、RS6アバントであれば何ごともなかったかのように路面を捉え、エンジンパワーを着実に推進力へと変えていく。この加速感を味わえば、かつてクワトロが世界中のモータースポーツシーンを席巻できた理由をたちどころに理解できるだろう。
これほどの高性能モデルでありながら、トランクは565リッターの大容量を確保。旅行用スーツケースであろうとスポーツギアであろうと、なんでも余裕で呑み込んでしまうはず。また、シートは手触りも滑らかなバルコナレザーで覆われている。シート形状そのものはかなりスポーティだが、キャビンを覆う素材がいずれも高品質なため、驚くほどラグジュアリーな雰囲気を楽しむことができる。
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ただ高性能なだけでなく、どこにでも出かけられ、どんな目的にも使えるアウディRSモデルは、万能性や快適性も備えた世界で唯一のウルトラハイパフォーマンスモデルといって間違いないだろう。
文/大谷達也 写真/柳田由人、AUDI AG 編集/iconic