土日はコーチを“閉店” アメリカあるある話
丸山 入江さんは、コーチとの関係性で大切なことはどのようなことだと思われますか?
入江 近すぎず遠すぎない関係ですね。僕は日本のコーチが還暦を機に引退したこともあって渡米したんですが、アメリカのコーチは自由すぎるというか、スケジュールを確認しようにも土日には一切メールを返してくれない。勉強になりました。
丸山 それはアメリカ人あるあるですね(笑)。
入江 日本人はお互いの気持ちを察するのに慣れているけれど、アメリカ人は言うときははっきり言う。ただコーチの中には厳しい人もいれば、友達のように優しい人もいて正解はないと思います。
丸山 競泳日本代表チームの最年長として、後輩からアドバイスを求められたりすることもありますか?
入江 相当困っていたり、もがいていたりしたら声をかけたりはします。
丸山 後輩には自分がされたら嬉しいことをしてあげたいですよね。変に先輩風を吹かせたくはない。いやあ、ピアノを弾く人は心が優しいなあ。バレンタインデーも下駄箱にチョコレートが溢れるほど入っていたでしょう?
入江 いやいや、下駄箱は鍵付きだったので(苦笑)。
丸山 僕は毎年義理チョコ1個だけ。0個の僕を哀れんだ幼馴染の女の子からもらっていました(笑)。コーチではないですが、兄貴分である北島康介君とは競泳の話はされますか?
入江 北島さんは平泳ぎ、僕は背泳ぎでジャンルが違うからというのもありますが、そもそも選手同士で競泳の話はしないですね。アスリートは案外そういうものだと思います。
丸山 我々は海外のゴルフスタイルや新しいギアについてよく話しますよ。
入江 それは意外ですね。ただ、チームメイトとは、男女ともに仲が良いですよ。同じプールでずっと一緒に練習するので。
丸山 羨ましいですね、ゴルフの世界はウルトラ男子校ですから。
競泳も生涯スポーツ ゴルフのように続けてほしい
丸山 今後、競泳がファンを増やすために、入江さんはどのようなことが必要だと思われますか?
入江 やはり、水泳人口そのものを増やすことが一番。そしてゴルフのように長く続けてもらうことも大切だと思います。
丸山 水泳は子どもの習い事として人気ですものね。
入江 ただ、競泳だけで食べていけるのは限られた選手のみ。厳しい世界ではあります。
丸山 水泳、引いては競泳が長く続けられるような、きっかけ作りに取り組みたい?
入江 はい。才能のある子たちの刺激になるような、イベントや交流会ができたらいいなと思います。やはりずっと同じ練習をしたり、記録が伸び悩んでマンネリになったりすると、飽きてやめてしまう選手も多いので。
丸山 競泳では入江さんのような高身長も才能の一つなんですか?
入江 背が高いほど有利だというのが、通説になっています。ゴルフは身長と関係がありますか?
丸山 昔は小さくても大きい人を倒せる夢のあるスポーツでしたが、今はギアの進化もあって、体格が良くてパワーのある選手のほうが伸びる時代になりつつあります。
入江 意外ですね。ゴルフには技で戦うイメージがありました。
丸山 最後に今後の目標をお聞かせ願えますか?
入江 今はやはり東京五輪ですね。僕は招致活動にも携わり、関係者の方々を間近で見てきたので、みなさんの願いが叶う形になればという思いはあります。
丸山 東京五輪の会場でお会いできたらいいですね。
[MEN’S EX 2021年4月号DIGITAL Editionの記事を再構成]
(スタッフクレジットは本誌に記載)