
幾度も京都を訪ねた人に勧める、京都の別の顔
京都へ行こう。そう聞いて、ほとんどの人が京都市内、なかでも洛中を目的地としたドライブを思い浮かべることだろう。1200年の古都をベースに市内や周囲の名所を巡る旅。いまも世界一の人気を誇る観光スポットである。何度行っても飽きるということがない。
けれども京都には、いわゆる“京の都”に関連した名所以外にも、訪れておきたい趣のまるで異なる場所がいくつもある。例えば京都府北部、風光明媚で温泉とグルメも豊富な“海の京都”などは、三度目、四度目の“京都”として足を延ばしたいエリアの一つだろう。
“海の京都”があれば、“山の京都”もある。京都府の南部エリアである。京都の南といえばお茶どころで有名な宇治の名が真っ先に挙がるだろうか。今回、ドライブの目的地としたのはその宇治茶の最大の産地、南山城村だ。
京都府相楽郡南山城村は、奈良や滋賀、三重と接する場所にある、京都府で唯一の村(行政区分)である。つまり、京都府には“市長さん”はたくさんおられるが、知事と村長はひとりしかいない、というわけだ。
なぜ南山城を目指すことにしたのか。山あいを分け入った京都唯一の村というだけでも訪れてみたくなるし、懐かしい里山や美しい茶畑、流行りのダム施設といった景色も楽しみの一つではあるけれど、実は他にもまだ目的となる場所があった。
南山城村文化会館やまなみホールである。村の文化会館がどうして目的地になるのかというと、それがかのメタボリズム建築家、黒川紀章氏の設計によるモダン建築の快作であるからだ。
