お互いのことをどう思っているのか
――せっかくお三方が揃っているので、それこそ佐藤さんから見た石田さんと西島さんといった感じで、お互いのことをどう思っているか、ぜひ伺いたいと思います。
佐藤 難しいですね。というのも、西島くんとは2本目なんだけど、ほぼ絡みがないんですよ。
西島 そうですね。
佐藤 そう。だから、もうちょっとがっつりめなお芝居があるものでご一緒したいなと。そうすれば何かニヤニヤ見られる気がするので。
西島 ニヤニヤって何ですか(笑)。
佐藤 それぐらいじっくり知りたいなと。だから、西島くんとはもうちょっとちゃんとやりたい。これは本当に思っています。
西島 こちらこそぜひお願いします。
佐藤 ゆり子さんは本当に、ゆりちゃんと呼ぶぐらい昔から知っているんだけど、変わらないのがすごいよなと。
石田 いやいや。
佐藤 女性の魅力を保ちながら、それで年を積み重ねていけるということのすごさというのかな。キャリアを積んだからといって居丈高になることは当然ないし、いつでも変わらぬゆりちゃんがそこにいて、現場にいてくれるとすごくほっとするんです。そういった意味でうれしい人ですね。顔を見ると安心できる人です。
石田 何かすいません。ありがとうございます。浩市さんとは昔からたびたびご一緒させていただく機会に恵まれているんですけど、共演する以前から共通の友人がいたので、プライベートで一緒に食事をさせていただいたり、ご家族とも仲よくさせていただいたりしています。もちろん先輩として本当に尊敬していますし、浩市さんが出られるなら、私も出たいと常に思う先輩です。だから、共演するたびにちょっとは成長した自分を見せたいと思っているんですけど、結果的にいつも笑われて終わってしまうんですよね。
佐藤 そんなことありませんよ(笑)。
石田 だといいんですけど。それで、西島さんはもう何本目になるんでしょう。何回も共演させてもらっていて、これまではかわいそうな奥さんの役とかが多かったんですね。西島さんの役にとってかわいそうな立場にある女性の役というのかな。
西島 離婚していたりとか。
石田 そう。離婚していたりとか、浮気されていたりとか。でも、映画を観ていただけたら分かると思いますが、今回はそうではなかったので、すごく新鮮でした。
西島 そうだったんですか(笑)。ゆり子さんは、そうですね、これだけ情報が表に出る時代になると、いろいろなことが丸裸にされるというか、分かってしまいますよね。ゆり子さんは、チャーミングですごく素敵な方だということはすでに日本中の皆さんが知っていると思うんですけど、実際にそういう方なので、いつも会うたびにすごいなと思っています。本当にすごいと思っているんですよ。あまり伝わってないみたいですけど。会うたびにそう思っています。
石田 知りませんでした(笑)。ありがとうございます。
西島 浩市さんはやっぱり存在がとにかく大きいですよね。俳優としての大きさを常に感じていて、監督と台本についてもすごくコミュニケーションを取られるし、そういう場面を見ているととても勉強になります。今回もそうですけど、共演させていただいた2作品とも国の命運に関わる話で、こういう難しくてスケールの大きな話を成り立たせてしまう浩市さんの力は本当にすごいです。いつか自分もこういう俳優になりたいなと思っています。
佐藤 大丈夫? 無理やり言わせたみたいなことになってないよね(笑)。
――こんな役で共演してみたいとか、そういったことを考えたり、お互いに話したりすることはあるのですか?
佐藤 そうやって考える方もいらっしゃると思うけど、僕はしたことないかな。具体的にそう思っちゃうと違ったときのギャップが大きくなっちゃうのでね。ゆりちゃんとのラブシーンなんか絶対にできない。
石田 えー、そんなにイヤですか。
佐藤 イヤじゃなくて、こんな照れくさいことないから。
石田 まあ、そうですね。でも、私はやれと言われたら、やりますよ(笑)。
スーツを着ること、ジャケットを着ること
――小誌らしくスーツやジャケットについてもお話を伺いたいと思います。佐藤さんと西島さんはもちろんのこと、石田さんも普段からジャケットを着こなしているイメージがありますが、皆さんにとってスーツやジャケットはどういったものですか?
佐藤 僕自身、会社勤めの経験がないので、勤め人の役をやるときか、こういう取材のときぐらいしかスーツをちゃんと着る機会はないんですよ。そういう意味でも、何かちょっと距離を置いてしまう部分が自分の中にあるんだけど、へんにかしこまらずに、さらっと羽織る感じでジャケットを着るのは好きです。ジャケットを着るだけで身なりは整いますし、周囲に対してもマナーは守れますからね。
石田 私もジャケットは好きですね。ファッションとしてのジャケットはすごくたくさん持っています。こんな答えでいいのか分かりませんが、気持ちがとても前向きになる服です。男性のジャケット姿、スーツ姿もとても好きですね。今日のお二人もとても素敵だなと思います(笑)。
西島 今日はVネックに合わせていてちょっとカジュアルめですけど、僕もやっぱりスーツとかジャケットは好きですね。スーツを着るということは相手だったり、その場に敬意を表しているということなのかなと思います。実際、自分も着るとちょっと気が引き締まるというか、気持ちの面でもすっと何か通る気がしますし、見た目にも内面にもいい影響を与えてくれるので、個人的にはとても好きな服です。
MOVIE『 サイレント・トーキョー』
佐藤浩市、石田ゆり子、西島秀俊、中村倫也、広瀬アリス、井之脇海、勝地 涼ら豪華キャストが集結し、クリスマス・イブの東京で突如発生した連続爆破テロ事件と、事件に巻き込まれた人々の群像劇を空前のスケールで描き出す、予測不能のサスペンス・エンターテインメント超大作。原作:秦 建日子『サイレント・トーキョー And so this is Xmas』(河出文庫)、監督:波多野貴文。●公開中
[MEN’S EX 2021年1・2・3月合併号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)