リーズナブル感も人気の秘訣
そして、これだけの性能を備えながら、リーズナブルであったこともポイント。2003年当時グランドチェロキーの上級モデル(V8/4.7リッター搭載)が495万円(消費税抜き)で、そこに各ブランドともターゲットラインを設定。トゥアレグのV6/3.2リッター搭載モデルが495万円(消費税抜き)からで、ちなみに、2004年に日本デビューを果たすBMW X3は約490万円(消費税込513万円)から。
そのリーズナブル感は、オールマイティな走りだけにあったのではなく、ボディサイズ(キャビンスペース)がもたらすクラス感にもあった。全長は4755mmだが、その全幅は1930mm。大きければいいというわけではないが、同価格帯の輸入車SUVと比較するとトゥアレグのキャビンは広過ぎるといわんばかり。さらに、インテリアではシンプルながら高級感を上手く演出したが、中でもセンターコンソールの幅サイズは高級感を感じさせるには圧倒的といった印象。乗り味からポテンシャル、さらにはこうした高級感を体験してしまうと、誰しもがその価格に強く惹かれるのは自然なことだった。
歴代のトゥアレグ(写真4枚)
初代トゥアレグは、SUVとはどうあるべきかを読み解き、時代の流れを上手く読み、さらに新しい提案を行い、デビューのタイミングも絶妙であった。2005年にはW12/6.0リッターエンジンを搭載したモデルを投入し、また、ダカールラリーに参戦するなど常に話題を提供し、グランドチェロキーに変わって高級SUVのベンチマークと評され、そのポジションは絶対のものとした。しかし、その後、矢継ぎ早にライバルがデビューし、いつしかその存在感にかつてほどの勢いは見られなくなっていた。
そのためかどうかは分からないが、3世代目となる最新モデルはすでに2018年にデビュー済みだが、日本への導入はされていない。ただ、漏れ聞こえ来るところによると、価格帯は上がったものの、あのリーズナブル感は見失っていないようだ。
文/吉田直志 編集/iconic