完成したアステアスーツ、その出来映えは?
「昼下がりのバーで一服、そんなときのスタイルに」(綿谷さん)
踊る心を抑えて、バタクへと足を運んだ綿谷画伯。スーツと対面すると思わず感嘆の声が漏れ、笑みが浮かぶ。早速、袖を通す。ジャケットの肩は優しい丸みを帯び、胸にはたおやかなゆとり。そしてその優雅なゆとりが、パンツへとつながる。まさしく、アステア流のエレガントなスーツがそこにあった。
「いいねぇ。生地は相当ヘヴィだけど、全然重さを感じない。肩も柔らかい。幅が少し広いんじゃないかと心配していたけど、大袈裟な感じもしないし。早く着てもっと馴染ませたいなぁ。今年はもう暑いけど」。
というわけで撮影と遊びを兼ねて、中寺さんと銀座のバーへと移動した画伯。シガーを持つ姿が、早くも堂に入っている。
「しなやかに着てらっしゃる。余裕と貫禄が増しましたね」とは中寺さんの評だ。
恋い焦がれたシネマスーツ──その優雅なドレープは、昼下がりのバーでグラスを傾ける一人の男を魅力的に彩っていた。
「余裕と貫禄が増しましたね。歳を重ねた画伯だから似合う」
左
イラストレーター 綿谷 寛さん
1957年東京生まれ。日本を代表するファッションイラストレーターにして洒落者。映画を題材にしたイラスト作品も数多い。愛称は画伯。
右
バタク 代表 中寺広吉さん
1965年富山生まれ。ビスポークテーラー「batak」のモデリスト。日々「batak 中寺創作室」にてバタク・スーツの型紙を作成している。
batak 中寺創作室
住所:東京都新宿区新宿1-3-4 Gyoen 6F
電話:03-5919-6682
営業:11時〜20時
定休日:水曜・日曜
今回誂えたのは、ハンドメイドによる「プライベート ビスポーク」ラインのスーツ。
スーツ35万円〜〈オーダー参考価格。仮縫い1〜2回。納期約4〜6ヶ月〉。綿谷さんのスーツの参考価格は41万円。
[MEN’S EX 2020年5月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)