>> この記事の先頭に戻る



なぜ「うなぎ」で有名な浜松は
ランキング上位に入らなかったのか

 このランキングを見て、「もっと有名なご当地グルメ(が食べられる地域)があるのに、なんで上位に入っていないの?」と思った人もいることだろう。

 今回のランキングで上位に来るのは、「地域名を聞いて、すぐにその食べ物がイメージできるか(地域名を擁しているご当地グルメ)」「他の地域との商品と差別化できているか」という条件を満たした市区町村になる。

 例えば、浜松といえば「うなぎ」が有名だが、今回の調査では認知度18.3%で25位。これは、「浜松うなぎ」と一般的に呼ばれないこと、また「どんなうなぎか」という特徴があまり知られていないことが要因だ。

「さぬきうどん」で知られる高松市は、「生うどん・そば」と「乾うどん・そば」の年間購入額合計が1万1093円で全国1位(平成28年家計調査)ながら、認知度15.3%で41位。一方で、さぬき市は12位にランクインしている。

 このことからもわかるように、地域名を聞いただけで、そのご当地グルメを思い浮かべられて、食べたいと思わせるような他との差別化とブランド力が重要なのだ。

「最近では地域名のついた食品が多くなりましたが、急増し始めたのは2005年頃からです。今では、スーパーで販売されている野菜なども、産地がどこかで売り上げを左右するようになりました。産地名を書いた時に高く売れるかどうか、それこそが『地域ブランド力』です」(ブランド総合研究所・田中章雄社長)

 例えば、ランキング11位の夕張市は、名前を聞くだけで、多くの人が赤肉のメロン「夕張メロン」をイメージするだろう。そして、3位の松阪市といえば「松阪牛」が有名だが、これほどのブランド力があるのは、ビールを飲ませたり、焼酎でマッサージをしたりという珍しい育成法が多くの人に刷り込まれているからといっていい。

牛肉、麺類が数多くランクイン
「宇都宮餃子」はその中で大健闘

 また、今回のランキングで上位15位に選ばれた市区町村を見ていくと、麺類や牛肉で有名な地域が多くランクインしていることがわかる。

 まず、麺類では、1位の喜多方市(喜多方ラーメン)、5位の名古屋市(名古屋メシの1つである味噌煮込みうどん)、6位札幌市(札幌ラーメン)、8位富士宮市(富士宮やきそば)、12位さぬき市(さぬきうどん)、14位丸亀市(さぬきうどん)、15位福岡市(とんこつラーメンなど)と、7つの市が入った。

 牛肉で有名な市区町村としては、3位に松阪市(松阪牛)、4位仙台市(牛タン)、9位米沢市(米沢牛)がランクインした。

 ランクインした市の麺類や牛肉は、地域ならではの特徴があることで知られているが、その一方で異彩を放つのが2位になった宇都宮市だ。

 宇都宮市といえば、「宇都宮餃子」で知られる街。その特徴はなんといっても、食べ方にある。宇都宮市内の餃子店には、餃子以外のメニューがほとんどない。餃子のお供にしたいビール、ごはんさえ置いておらず、餃子オンリーの店も珍しくない。

「餃子店で餃子だけ3皿食べて帰る、というようなスタイルこそ、『宇都宮餃子』の他にはない特徴。浜松市と1人あたりの消費量で競っていますが、他の餃子と徹底的に差別化できているこの宇都宮のスタイルこそが、今回のランキングで上位に入った要因ではないでしょうか」(田中社長)

 ご当地グルメを巡る争いが激しさを増す昨今。本当にブランド力を高めたいのであれば、地域名を擁しながら、他にはない特徴を打ち出し、そして名前を聞いただけで誰もが食べたくなるおいしい商品に育てることが必須のようだ。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 林恭子)

ダイヤモンド・オンライン

[ダイヤモンド・オンラインの記事を再構成]
  1. 2
LINE
SmartNews
ビジネスの装いルール完全BOOK
星のや
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE
pagetop