10m先から目に飛び込んでくるようなあからさまなVゾーンコーデは無粋。1mの距離で初めてその人のセンスの良さが窺える。そんな控えめなバランスが好感度を高めるのだ。
ざっくりと立体的な織りで胸元に涼を呼ぶ
からみ織りのシャツ
今回の主役はVゾーンのベースとなるシャツ。2本のタテ糸をよりながらヨコ糸を打ち込むことで細かな網目状に仕上げ、夏場に嬉しい通気性とさらりとしたタッチを叶えた”からみ織り”シャツをご紹介する。ちょっと鹿の子を思わせる風合いは見た目にも涼しげで、胸元の奥行きを高める効果も高い。もちろん、これからの季節に着用機会が増えるリネンやコットン混のタイ、ニットタイとも相性がよく、写真のようなノータイスタイルや、オフィスでシャツ一枚となったときにも、通常のブロード地のシャツよりぐっと洒落て見える。来るクールビズシーズンに備えて一枚買い足してはいかがだろうか。
1. MACKINTOSH PHILOSOPHY
マッキントッシュ フィロソフィー
前立て、折り返し仕様の袖、背中に取り付けた共地のハンガーループなど、ややカジュアルなディテールを備えた半袖シャツ。裾はスクエアにカットされ、パンツアウトスタイルも様になる。1万3000円(SANYO SHOKAI)
2. ETONNE
エトネ
タテ80番手双糸、ヨコ40番手双糸の生地は、素材に新疆綿を使用。絡み織りで通気性を高めつつ、程よい艶がドレッシーに見せる。この価格で脇を折り伏せ縫いとしたのも見事。7800円(ユニバーサルランゲージ 渋谷店)
3. LUIGI BORRELLI
ルイジ ボレッリ
立体的な織りは、絡み織りの長所であり短所でもある透け感を抑えるため。襟型は世界で最も美しいセミワイドと謳われるルチアーノ。大人の艶と格を見せつけるには格好の一枚だ。3万5000円(バインド ピーアール)
4. EDIFICE
エディフィス
紹介した中で唯一のカッタウェイ襟。襟先のロールが美しく、タイドアップもだが、夏場のノータイスタイルが極めて洒脱に決まるだろう。青の絡み織り生地も爽快な印象を高める。1万3000円(エディフィス 丸の内)
5. SOVEREIGN
ソブリン
メッシュ感の強い、見た目にも非常に涼しげな生地を使用。ニットタイ、あるいはジャケパン姿に抜群に似合いそうだ。伊の高級シャツ同様に袖を後付けしているため、動きやすさも良好。2万3000円(ザ ソブリンハウス)
[MEN’S EX 2018年6月号の記事を再構成]
撮影/若林武志 スタイリング/武内雅英(CODE) 文/吉田 巌(十万馬力)