今年のバーゼル会場の雰囲気はいかに?【時計王・松山 猛のBASEL2018】

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バーゼル


バーゼル取材 DAY 1

変化するバーゼルとメディア取材

バーゼル会場はこれまでに比べ、やはりその全体の面積を縮小していた。バーゼルが始まる以前から噂では聞いていたが、かなりの数の中小ブランドがバーゼルワールドを離れたようで、特に2号館に出展していた宝飾品のブースの多くが今年はそこを去っていったようだった。

しかもバーゼルワールドの開催期間の日数が、2日間も減ることになったが、我々が訪問すべきブランドの数はこれまでとほぼ同じだから、いきおい一日に取材するブランド数が増え、特にカメラマンへの負担が増えたフェア取材となった。

バーゼル取材 フォトギャラリー(写真10枚)



日本のメディアでも、これまでのように現地にカメラマンを送り込んで、オリジナルの撮影をすることを取り止めた雑誌もあるなか、世界文化社は例年通りMEN’S EX(およびMEN’S EX ONLINE)と時計Beginの合同取材チームの布陣を張り、インスタグラム、フェイスブックによる速報と、紙媒体誌面、さらにこうしてウェブサイトによるレポートの発信と、時代に沿って時計の情報を発信するための取材を敢行したのだった。

新製品の情報はブランドサイドからも、リアルタイムに発信される時代となり、我々の仕事は、いかに新しく発表された時計の良さ、面白さを分析し、読者のみなさんに伝えるかを念頭に置いて取材することに尽きるだろう。それを肝に銘じて時計と向き合うのは真剣勝負だ。

MEN’S EXでは、今年からSIHHやバーゼルの新作を伝える特集を、ウェブサイト(MEN’S EX ONLINE)中心に作る事になったが、考えてみるとこれまでの誌面では不可能であった、たくさんの画像や動画を用いた発信も可能となるわけで、それを駆使して読者の皆さんに時計の面白さを伝えたいとも思った。

ためしに紹介する動画の一つが、バーゼル七不思議のひとつである『舌を出す王様』の動画だ。この王様はかつて、バーゼル旧市街と新市街の階層の異なる市民がいがみあっていた時代の名残だそうだ。

カソリックの司教座が置かれていた裕福な市民が暮らす旧市街と、新興のおそらくプロテスタント系の一般階級が暮らす新市街は、残念ながらあまり仲が良くなかったという。
昔から格差のある暮らしは、様々な問題を生んだとみられるが、ここバーゼルではなかなか極端な格差があったらしいのだ。ライン川によって隔てられた、新旧の市街を結ぶ橋があるが、昔はその橋も旧市街側からの部分が石造だったのに反し、新市街側の部分は木造だったという話だ。
旧市街の王様は今も新市街に向かって、舌を出し目玉をくりくりと動かしているのだが、今となってはそれも愛嬌であり、昔話を伝えてくれているのである。

バーゼル取材 フォトギャラリー(写真4枚)



Profile
松山 猛 Takeshi Matsuyama
1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN’S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。バーゼル101年の歴史の3割を実際に取材してきたジャーナリストはそうはいない。

松山猛
スワロフスキーのブースにて。


撮影/岸田克法、小澤達也 文/松山 猛

2024

VOL.341

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