
類家心平さん
海上自衛隊の音楽隊にて腕を磨いた、若手No.1として各界より評価の高いトランペッター。菊池成孔や沖野修也との活動、アニメ映画『坂道のアポロン』のトランペットを担当するなど、幅広い活躍で知られる。
“音を楽しむ”は人類に与えられた特権だ
20世紀、人間は音楽に関する新しい楽しみ方を手に入れた。「録音された音楽を聴く」という喜びだ。それまでは生で奏でたものしか楽しめなかった音楽が、時と場所の制約から自由になって、広く一般的な娯楽となったのだ。
以降、映画やテレビ、商業施設のBGMなど、音楽は生活から切っても切り離せない、人それぞれの時間や体験を豊かに彩ってくれるものとなった。だが、音楽を聴く時間そのものをしっかり味わうなら、アナタの自宅に勝る場所はないだろう。最もプライベートな空間で、自分好みにセッティングした環境で好きな曲を聴く。自宅こそが音を楽しむ最高の舞台であり、装置なのだ。
「僕の場合、まず単純にトランペットを吹いているのが好きなんです。その点では演奏することで音楽を楽しんでると言えるかもしれませんが、もちろんリスニングの時間も生活から切り離せません」と、気鋭のジャズトランペッターである類家心平さん。単なる演奏家ではなく、作曲を行い自身のバンドを率いる作り手でもあるため、「リラックスするためのBGMとして音楽を聴くというより、どんな演じ方なのか、どんな作り方なのかという点に意識がいきます。だからiPodやウォークマンの類でリスニングはせず、聴くときはもっぱら自宅ですね」。
誰もが類家さんのように腰を据えて音楽を聴く必要はまったくないけれど、集中して音楽を味わうにも自宅のオーディオは一番だ。
Spotifyやアップル ミュージックのような定額制音楽配信サービスが広まり、多くの音が気軽かつ安価に聴ける環境になっている。そして、それに対応したネットワークオーディオがハイエンドオーディオの世界でも活況だ。かたやアナログレコードの製造枚数が増え続けるなど、こちらもちょっとしたトレンドに。
「定額制の音楽配信サービスのおかげで世界中の多くの音源をより楽に聴くことができますし、今まで幻とされていた過去のジャズミュージシャンの名演も聴くことができるようになりました。いい時代になったなと思います(笑)」
音楽はいい時間、いい空間には欠かせない。言い換えるなら最高の音楽は最高の時間を作ってくれる。とりわけインターネットを介して自宅で音楽を聴くというのは、2010年代を生きる世代に与えられた幸福で、特権だ。その恩恵に存分に浴してみては?
銀座二丁目の〈サウンドクリエイトラウンジ〉では、ヴィンテージスピーカーを現代の真空管アンプやネットワークプレーヤーで再生、またデジタルを駆使する最新システムが視聴できる。既成概念にとらわれぬ音体験をどうぞ。
TEL:03-5524-5828 営業時間:12〜19時(日・祝日は11時〜18時) 休:月・火