「ビジネスで大事なのはスキルより人間力」〜dely 代表取締役 堀江裕介さん〜【加藤綾子/一流思考のヒント】

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多くの個を束ね、組織を成功に導いている一流のトップには、どんな思考があるか?会社のマネジメントにも役立つ”ヒント”を加藤綾子さんがそっと探り、お届けする。

第14回 dely株式会社 代表取締役/CEO 堀江裕介さん[前編]

加藤 綾子さん、堀江大地さん
加藤さん衣装:ニット、スカート/以上アンスリード(アンスリード 青山店) ピアス9万円/マリハ(マリハ)

※最後に加藤綾子さんのスペシャルフォトギャラリー付き!

Profile
加藤綾子 Ayako Kato
1985年生まれ。2008年フジテレビ入社、看板アナウンサーとして活躍。’16年よりフリーアナウンサーとなり、さらに活躍の場を広げている。現在は『ホンマでっか!? TV』(CX)、『世界へ発信! SNS英語術』(NHK)、『MUSICFAIR』(CX)にレギュラー出演中。

堀江裕介 Yusuke Horie
1992年群馬県に生まれる。2014年、慶應義塾大学在学中にdely社を設立。2度の事業転換を経て、’16年2月より運営する「クラシル」を日本最大のレシピ動画サービスに成長させた。’17年、Forbesによる「アジアを代表する30才未満の30人」に、 メディア・マーケティング・広告部門で唯一の日本人として選出。

「偉くなってヨイショされるようになったら終わり。僕は仲間や社員、まわりに常にいじられるような経営者でありたい」
(堀江さん)

ビジネスで大事なのはスキルより人間力

加藤レシピ動画サービスのうち、レシピ数が世界一。今をときめく若手のITベンチャー社長として大変な注目を集めています。圧倒的なスピードで事業を推し進めている印象がありますが、何か思惑でも?

堀江例えばですが、アイドルって、幻想を抱かれているうちに階段を駆け上がらないと、スターになるチャンスを失いかねませんよね?それと同じで、起業家は期待されているうちに結果を出すことが重要だと、僕は思っています。結果を出せば、期待値はさらに高まるので、まあ、結局は闘い続けることにはなるんですけど(苦笑)。

加藤プレッシャーは相当なものではありませんか?

堀江いや、意外と平気です。失敗したら、魚釣りでもして暮らせばいいと思っていますし。

加藤なんと!

堀江僕は大学在学中に起業したのですが、一度、会社を潰しかねないほどの経験をしています。あのときは誰にも声を掛けられなくなったし、こっちから挨拶しても無視された。それが面白いことに、その半年後に「クラシル」がブレイクするとみんなが寄ってきたんですよ。それもあって、人の瞬間的な反応は気にならなくなりましたね。

加藤なるほど。人を見抜く力も養われたのでは?

堀江はい。感受性が強くなりました。特に人の表情の変化には敏感です。社内でスタッフとすれ違って、「この社員、調子が悪そうだな」と思ったら、かなりの確率で当たりますね。それと、いろいろ見えてしまう分、わざと茶化しがちです。ふざけたふりをしていないと、本音が言えなかったりして。

加藤それは繊細な人ならではの行動パターンかも。

堀江でも、その繊細さは仕事をするうえでいろいろと役に立っています。相手の表情の変化を読み取れれば、それに応じて、より効果的な策を講じていけばいいわけですから。

加藤心理戦みたいですね。

堀江まさに。ビジネスで勝つには心理戦を制するのが重要だと思っています。最初に仕掛けたフードデリバリーサービスの事業が失敗したとき、次にどんなアクションを起こせば、自分に流れが来るだろうかと必死に考えたんですよ。そこで僕の頭をよぎったのがヒット漫画のセオリー。

加藤その心は?

堀江滅多打ちにされた主人公が再起をかけて挑戦していくという筋書きは、読む者の胸を熱くするでしょ。僕のビジネス展開もコレだ!と。で、とにもかくにも土俵に上がらないことには始まらないので、”ビッグマウス”と揶揄されるのを覚悟しながら、敢えて生意気な若手起業家を演じ、業界内で注目されるように努めました。そして、実際に面会までこぎつけた相手には、一転して誠実な姿勢を見せる。先方の事業についてはもちろん、その方の趣味の領域までも可能な限りリサーチしたりして。

加藤ギャップを突く、と。戦略的ですね。その方が相手の心をよりいっそう揺さぶるのでしょうね。

堀江ええ。起業家はとかく「うちの事業戦略は?」と仰々しく語りますが、その中身は大差ない。それよりは人や資金を集めるための交渉力に長けていることが重要だと思います。あとは、意図的に弱みや素朴さを見せることですね。

加藤相手に取り入るための、見せかけのへりくだりではなく、リアルな弱みってことですね?

堀江もちろんです。今日の靴にしてもそう。尖がった革靴は、勢いのある起業家風かもしれませんが、僕のように目つきが悪く見えてしまう人間をさらに嫌らしく見せかねないので、いつもと同じようにスニーカーを履いてきました。そもそも革靴を持っていないからでもありますが(苦笑)。とにかく格好つけていると相手に思われたらダメ。僕は、お笑い芸人の小島よしおさんさながらに、パンツ一丁になれる経営者でありたい。偉くなればなるほどヨイショされて、いじられなくなってしまうけど、そうなったら終わりです。僕は、自分自身が常に新しいものに触れていたいですし、”ふざけること”を大切にしていきたいと思っているので、その一環としてYou Tuberとしての活動も開始しました。名前は「ジャイミー」で、僕の生き別れの弟という設定。そんなことをしていると、先輩方には「おまえ、バカだなあ」と可愛がっていただけるんです。

2024

VOL.342

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