【今月のインタビュー】俳優・浅野忠信さん〜映画『パンク侍、斬られて候』〜

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この人が出ている作品は観てみたい。そう思わせてくれる役者のひとりである。最新作は石井岳龍監督の『パンク侍、斬られて候』。異様なエネルギーが渦巻くこの作品で異形のカリスマを演じている。

浅野忠信

「大事なのはフォーマットではなく、何を作りたいか、何を表現したいかということ」

いかに自分が楽しめるポイントを見つけるか

この日は映画『パンク侍、斬られて候』の完成披露舞台挨拶。インタビューが行われる部屋に颯爽と現れた浅野さんは、髪をオールバックにしてサングラスをかけ、ショットのライダースと白のドレスシャツにチェック柄のタイトパンツを合わせた、実にパンキッシュな出で立ちであった。聞けば、衣装はすべて自前だという。

「映画の世界観に合わせて、この格好にしました。人を見た目で判断するなと言うけど、やっぱり見た目というのは一番分かりやすい部分でもあるから、着ている服だったり、持っているアイテムでその人の生き方や個性を判断することってあると思うんですよね。別にファッション誌に載っているものがベストなわけじゃなくて、その人の意気込みが感じられるスタイルだったら何でもいいと思います。僕は古着が好きで、原宿のシカゴによく行くんですけど、18歳のときにシカゴのバイトの面接を受けて、落ちてるんですよ。支払うばっかりじゃねえかと思いながら、未だに通っています(笑)」

さて、肝心の映画だが、本作は町田 康の同名小説をもとに、宮藤官九郎の脚本と石井岳龍監督の感性が爆発的に掛け合わされて生まれた前代未聞、説明不能の娯楽作である。予測のつかないストーリー展開に加えて、次から次へ型破りなキャラクターが登場し、なかでも浅野さん演じる茶山半郎はある組織の極悪非道な元幹部という役で、その存在はとにかくアナーキーでエキセントリック。

「茶山の役は楽しかったですね。ちょっとやり過ぎちゃったところもあって、そこはけっこうカットされていましたけど(笑)、まずは演じる側が楽しまないと役も生きてこないと思うんです。その役を理解して、いかに自分が楽しめるポイントを見つけるか。少なくとも僕には、それが芝居をするときの重要な要素になっています」

『バタアシ金魚』でスクリーンデビューしてから今年で28年。そのキャリアは、日本映画が本当の意味で豊かな表現性を取り戻し、新たな地平を切り開いていった歩みと重なる。メジャーとインディペンデントだけでなく、国境の垣根も自由自在に飛び越えて、日本映画を確実に面白くしてきた役者のひとりであることは誰しも認めるところだろう。さらに近年は、テレビドラマやネット配信映画にも出演するなど、活躍の場はどんどん広がっている。

「僕自身は、映画が好きだし、映画からたくさんのことを学びましたけど、今の時代はいわゆる映画館で観るものだけが映画ではないなと思ったんです。大事なのはフォーマットではなく、何を作りたいか、何を表現したいかということ。そこがちゃんとできていれば、最終的にアウトプットされる場所はどこでもいいんだなって。だとしたら、自分がやりたいことをどんどんやっていったほうが間違いなく楽しくなる。もちろん僕ひとりでできることには限りがあるので、何かやりたいと思っている人たちと一緒に面白いことをしていければ最高ですよね」


プロフィール
浅野忠信 1973年神奈川県出身。1990年に『バタアシ金魚』でスクリーンデビューを果たして以後、国内外の映画に数多く出演。2003年『地球で最後のふたり』で第60回ベネチア国際映画祭コントロコレンテ部門主演男優賞を受賞。2011年『マイティ・ソー』でハリウッドデビュー。近年はテレビドラマにも積極的に出演し、TBS『A LIFE 〜愛しき人〜』、CX『刑事ゆがみ』が話題を呼び、「第10回コンフィデンスアワード・ドラマ賞」で主演男優賞受賞。2018年はNetflixにてジャレッド・レトと共演した『アウトサイダー』が配信中のほか、9月に『累-かさね-』の公開が控えている。

ニンゲン御破算
cエイベックス通信放送

『パンク侍、斬られて候』(公開中)
日本映画界に新次元の風穴をぶち開ける、前代未聞のエンタテインメント!

監督:石井岳龍
脚本:宮藤官九郎
出演:綾野 剛、北川景子、東出昌大、染谷将太、浅野忠信、永瀬正敏、國村 隼、豊川悦司ほか
配給:東映

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[MEN’S EX 2018年8月号の記事を再構成]
撮影/野口貴司(San・Drago) インタビュー・文/澤田真幸

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