アアルトベース90周年。静けさを纏う、アアルトベースの新しい景色

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イッタラの「アアルトベース」

デザインは、時を経てもなお、私たちの感性を刺激する。フィンランドを代表するデザインブランド、イッタラの「アアルトベース」もそのひとつだ。1936年の誕生から90年を迎える今年、その名作に現代アートの視点を重ねた特別な試みが、伊勢丹新宿店で開催されている。

河江裕樹⽒
河江裕樹⽒(Yuki Kawae)。京都出身、アメリカ在住のマルチディシプリナリー・アーティスト。現代の枯山水表現を通じて幾何学と静寂を探求し、砂紋や絵画、彫刻など多様なメディアを展開。自然と幾何学が織りなす作品で、心の明晰さと未知なる美との出会いを促している。

注目したいのは、現代アーティスト・河江裕樹(Yuki Kawae)氏とのコラボレーションによる「枯山水インスタレーション」。砂を敷いたテーブルに、コンクリートで鋳造したアアルトベースのフォルムを配し、その周囲に河江氏が幾何学的な砂紋を描いていく。そこにあるのは、単なるディスプレイではない。自然、時間、静寂といった日本的な美意識と、アアルトがフィンランドの自然から着想した造形が交差する、一つの「風景」だ。

枯山水インスタレーション
イベントイメージ

ものを選ぶことが、単に機能やスペックを比較することではなく、その背景にある思想や時間まで所有することだと気づかせてくれる。忙しい日常から少し離れ、目の前の造形をじっくり眺める。そんな“余白を楽しむ時間”もまた、成熟した大人の嗜みと言えるだろう。

Yuki Kawaeが手がける限定6点のアアルトベース

Yuki Kawaeが手がける限定6点のアアルトベース

さらに見逃せないのが、河江氏が一点ずつハンドペイントを施した限定6点の「Yuki Kawae Edition」。イッタラのガラス工場から取り寄せた砂を混ぜた絵具を幾重にも重ね、24金箔をあしらったアアルトベースは、もはや花器というより唯一無二のアートピースだ。120mmが39万6000円、160mmが49万5000円。水を入れて使うためのものではなく、特製木箱に収めて届けられる、コレクションするための作品である。

Yuki Kawae Edition
河江氏が表現する静かなブルー
空や海とも異なる、河江氏が表現する静かなブルー。アアルトベースが持つ透明感や曲線美に、手触りを感じる砂が奥行きを加えている。

90年という時間を経ても、名作は完成しない。見る人や時代が変わるたび、新しい解釈が生まれるからだ。その瞬間を実際に目で確かめられるのが、今回のPOP-UPの醍醐味。会期は2026年9月3日まで。伊勢丹新宿店 本館5階で、静かな“余白”に身を置いてみてはいかがだろう。

伊勢丹新宿店 本館5階

IITTALA AALTO90 POP-UP2
開催期間:2026年8⽉26⽇(⽔)から9⽉3⽇(⽊)
営業時間:10:00〜20:00
開催場所:伊勢丹新宿店 本館5階 センターパーク/ザ ステージ#5
⼊場:無料

Text/Mayumi URAYAMA(MEN’S EX)

2026

VOL.350

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