GTSの名が導く純粋なるパフォーマンス。走りの矜持は、時代を超えて

2025年10月、ポルシェ ジャパンはフル電動SUV「マカン」に伝統のスポーツモデルとなる「GTS」を発表、予約受注を開始した。

ベースとなる新型マカンは、ポルシェ初の本格電動SUVとして2024年に登場したBEV専用モデル。800Vアーキテクチャーと最適化された空力ボディにより、高効率と俊敏性を両立。都市からワインディングまでを自在に駆ける、新世代のプレミアムSUVである。その中でGTSは、1963年の904カレラGTSに始まる“走りの系譜”を、電動の領域へと進化させた存在だ。

パワートレインはマカンターボと同様に直径230mmの大型リアモーターを採用し、通常時には最高出力380kW（516ps）、ローンチコントロール作動時にはオーバーブーストで420kW（571ps）を発生。955Nmの圧倒的トルクを電子制御リアディファレンシャルロックとトルクベクトリングで制御し、リア寄りの48：52重量配分がGTSらしい切れ味を生み出す。なお、0-100km/h加速は3.8秒となる。

足まわりにはGTS専用チューニングのスポーツエアサスペンションを搭載。車高は標準より10mm低く、専用ダンパーとアンチロールバーが俊敏なターンインと高いコーナリング精度を実現する。さらに“サーキットモード”ではバッテリー冷却を強化し、持続的な高負荷走行下でも電力ロスを最小限に抑える。

エクステリアには、ポルシェが2026年初頭から全マカンモデルに導入する「スポーツデザインパッケージ」を初採用。新設計のフロント＆リアエプロンを備え、インサートやサイドブレード、ホイールアーチトリム、アダプティブリアスポイラーリップなどのコントラストエレメントがブラック仕上げとなる。ティンテッドマトリックスLEDヘッドライトとともに、GTS専用の力強く精悍な佇まいを形成する。標準の21インチホイールに加え、22インチRSスパイダーデザインもオプション設定。新色としてカーマインレッド、ルガーノブルー、復刻のクレヨンが追加された。

インテリアはブラックのRace-Texとスムースレザーの組み合わせがスポーティな質感を演出。外装色に合わせたデコレーティブステッチを選べるGTSインテリアパッケージでは、ステアリングやヘッドレストのGTSロゴも同色で統一され、細部まで統一感を高めている。カーボントリムとカラーマッチのGTSバッジが、ドライバーズカーとしての気品を添える。

SUVの実用性に、スポーツカーの情熱を。マカンGTSは、電動化の時代にあっても“走る歓び”というブランドの核心を見失わない。価格は1,396万円。数字以上に、このモデルが放つのは“GTS”の称号が象徴するドライバーズカーとしての矜持だ。