トーン・オン・トーンで表現するミニマルクラシックの気品
モードから始まったクワイエットラグジュアリーの潮流は、今クラシックの世界にも波及している。上質な素材と仕立ての服を、トーン・オン・トーンでミニマルに。そんな装いは元来抑制美とクオリティコンシャスを信条とするクラシックスタイルにもベストマッチなのだ。まず実践したいのは、王道色の双璧・ネイビーとグレーの着こなし。そのポイントを解説しよう。
豊かな余白を物語るグレー

歳を重ねるほどサマになるグレーの装い。その理由は、ニュートラルな無彩色のなかに浮かぶ豊かな余白がエレガンスを滲ませるからだ。“百鼠”と称されるほど幅広いグレーの色みだが、おすすめしたいのはミディアムトーン。品格・軽快感・リッチさの絶妙なバランスがその理由だ。こちらはタイやチーフもグレー基調。遠目ではわからないが、シャツもグレーのストライプ柄だ。靴だけはあえてブラウンスエードを選んで、柔和さも表現している。
グレースタイルは濃淡を混ぜてメリハリを
素材の掛け合わせで豊かな表情を演出するのはネイビースタイルと同様だが、違うのは色合わせの方法論。グレーの場合、ある程度濃淡を混ぜて構成するのが正解だ。その際、淡→濃というグラデーションを意識して選ぶと洒落た印象にまとまる。
装いのコツ三箇条
- 全身を同じ濃度にしない
- グラデーションを意識して濃淡を混ぜるとよし
- パンツのトーンに合わせて靴の色みも変える
Grey style_#1
淡色のトップスをパンツと靴で引き締める

スペインのハンティングジャケットに由来する“テバ”を、グレーのトーン・オン・トーンでモダンに着こなした上品カジュアルスタイル。トップスはライト&ミディアムトーンで統一しつつ、パンツと靴は濃色を合わせることで引き締まった印象に。
Grey style_#2
ニュアンスカラーを活用するのも手

ワークテイストなコーデュロイブルゾンは、うっすらベージュも混じった色みが印象的。ただのグレー濃淡だけでなく、このようなニュアンスカラーも取り入れながらスタイリングを構成すると洒脱さがいっそう引き立つ。クラシックなプリーツパンツを選んで上品さも意識。休日の街歩きや美術鑑賞など、リラックスしつつも節度を保ちたいシーンにぴったりだ。
Grey style_#3
上質な色みと素材で築くモダンスポーティ

最近はバーシティジャケットともよばれるスタジャンに薄手のフーデッドパーカ、足元はスニーカーというトラッド&スポーティな合わせ。それでもあくまで大人らしく映るのがグレートーンの妙味だ。ジャケットは温かみのあるウールの身頃とディアスキンの袖を切り替えて上質感を表現。ドローストリング&ゴムシャーリング仕様のパンツはフランネル調のウールカシミア製と、素材のクオリティにもこだわった装い。
[MEN’S EX Autumn 2025の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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