トーン・オン・トーンで表現するミニマルクラシックの気品
モードから始まったクワイエットラグジュアリーの潮流は、今クラシックの世界にも波及している。上質な素材と仕立ての服を、トーン・オン・トーンでミニマルに。そんな装いは元来抑制美とクオリティコンシャスを信条とするクラシックスタイルにもベストマッチなのだ。まず実践したいのは、王道色の双璧・ネイビーとグレーの着こなし。そのポイントを解説しよう。
静謐な円熟が薫るネイビー

端正でモダン。それでいて黒よりもまろやかさを感じさせるのがネイビーワントーンの真骨頂。経験を重ねた大人の人物像を象徴する、静かでいて円熟味にあふれた装いを築くことができる。タイドアップスタイルで実践すると少々艶っぽさが勝つため、おすすめはノータイスタイル。キャバリーツイルで仕立てたM-65型のジャケットにハイゲージのウールニットとネイビースラックスを合わせれば、スタイリッシュな趣に満ちたカジュアルルックに。
ネイビースタイルは色みを揃えて素材に変化を
トーン・オン・トーンでネイビーを合わせる際、合わせるトーンに差がありすぎるとチグハグな印象に見えがち。とはいえ素材感まで同じだと少々退屈ゆえ、艶やかな生地にはマットな生地を合わせるなど風合いに表情をつけるのがポイントだ。
装いのコツ三箇条
- 装い全体を極力同じ濃度でまとめる
- 素材感には変化をつけてメリハリを
- 足元は黒靴一択
Navy style_#1
超シンプルに見えて細部に仕掛けあり

スーツにニットポロという極めてベーシックなネイビースタイル。ポケットチーフも挿さず、あえてシンプルに徹するくらいが今ならちょうどいい。とはいえよく見ると、スーツはワイドラペル&ローゴージでデザインにヒネリあり。さらに同系色のグレンチェックも入った一着だ。一見わからないくらいの微差にこだわることが、ミニマルでも退屈にならない秘訣。足元はタッセルローファーで軽やかに。
Navy style_#2
ワントーンで表現するミックススタイル

構築美に満ちたブリティッシュブレザーに古き良きラギッド感が薫るアメリカンジーンズ、首元には無造作に巻いたシルクスカーフというハイブロウなスタイリング。とはいえ奇抜に見えないのは、全体をネイビーワントーンで統一しているからだ。ちなみにインナーはイタリアブランドが手がけたウエスタンシャツを合わせていて、英・米・伊の多国籍ミックススタイルを表現している。
Navy style_#3
デニムにはドレッシーな素材を

ネイビーのトーン・オン・トーンスタイルを築くうえで、風合い豊かなデニム素材のアイテムは絶好のアクセント。ここでは主役となるトップスにそれを取り入れているが、その際に注意したいのが合わせるアイテムのテクスチャーだ。ハイゲージのニットや艶のあるサキソニーなど、ドレス感のある生地を合わせると大人らしくまとめることができる。
[MEN’S EX Autumn 2025の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
※表示価格は税込み