実用の美が凝縮された”毎日使える高級品”
「オールデン、ニューバランス、チャーチ、パラブーツが僕にとっての4大定番」と語る栗野氏。初めてチャーチを購入したのは30年以上前という筋金入りの愛用者で、今まで20足近く履いてきたという。
「クルマでたとえるなら、ベントレーではなくクラウンといったところでしょうか。雲上ではなく手が届く高級品で、毎日愛用できるのがいいですね。贅沢品ではなく、あくまで日常品としての靴でありがながら、エレガントな格もある。そこがチャーチの魅力です。最近のお気に入りは、ポリッシュドバインダーカーフ製のウイングチップ『グラフトン』(写真)。キレイな光沢ですが凄くタフで、気軽にガンガン履いていける。ヒールが大きく安定感があり、トウスプリングが利いているので長時間履いても疲れにくいんです。実は雨の日にも対応可能です。アッパーが水に強いことと、分厚いダブルソールで悪天候をものともしません」
ファッションではなくプロダクト。その姿勢に惚れ込んだ
実用面の完成度に惚れ込んだという栗野氏。しかし一方で、その見た目も負けず劣らず魅力的だという。
「あくまでも”靴”であり”モノ”であって、装飾目的のものではない。そこに味があり、普遍的な魅力があるんです。ファッションアイテムというより、完成したプロダクトとしての性格が強いからこそ、僕のテイストに合うんです。ゴワゴワのチャーチなんて、大好きな合わせですね」
チャーチは継続的な支持を得る定番だが、最近特に店頭で人気が高まっているという。
「チャーチは140年以上続く芯のあるブランドで、英国靴好きにとって原点となるもののひとつ。それが今、人気再燃しているということは、皆さん原点に戻りたい気分になっているのではと思います。いつでも安心して戻ってこられる、そんな懐の深さを持った偉大な名靴です」