俳優・藤木直人さんインタビュー「子どもを持って、初めて親のありがたみや家族の絆に思い至りました」

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ドラマや映画のみならず、多岐にわたる活躍を見せている藤木直人さん。
3月16日(金)公開のディズニー/ピクサーの最新作『リメンバー・ミー』では、声優にも挑戦。服の話を枕に、人気俳優の実像を覗いてみると……。

ファッションには無関心、でも似合ってしまうのは?

藤木直人さん

スーツ9万4000円〈オーダー価格〉/麻布テーラー(麻布テーラープレスルーム) シャツ2万2000円/バグッタ(トレメッツォ) チーフ4000円/フェアファクス(フェアファクスコレクティブ)

リラックス感のあるスーツをさらりと着こなした藤木直人さん。服にはどんなこだわりが? とM.E.らしく質問すると……。

「僕からファッションに関することは、何も出てこないですよ」と苦笑い。
「スーツもほとんど持っていないし、仕事以外でネクタイを締めるような場所に、まず行かないですね。服のことはよく分からないので、決まったセレクトショップの顔見知りの店員さんに任せ切りです(笑)」とは言え、ドラマで私服が採用されたこともあったのだとか。

「美容師の役だったんですが、監督のイメージする衣装が、私服に近そうだったので、いくつか持っていったんです。デニムにシャツとかパーカーとか、ほとんどラフなもの。そうしたら結構採用されて、その分、作品への思い入れが深まりました(笑)」

「テレビドラマが主戦場」と言いつつ、多彩な顔を持つ。舞台、トーク番組のMC、バンドでのライブツアー、そして3月公開のディズニー/ピクサーの最新作『リメンバー・ミー』では、声優にも挑戦している。

「ディズニー/ピクサーには素晴らしい作品がいっぱいありますよね。我が家にもほとんど全作品のDVDがあって、子どもたちも繰り返し見ています。僕は『トイ・ストーリー3』が大好きで、主人公が大学生になって、オモチャと別れるシーンで号泣したんです。そうしたら、この『リメンバー・ミー』は、『トイ・ストーリー3』と同じリー・アンクリッチ監督。この作品もキャッチーでポップな部分はありながらも、子どもはもちろん、大人も考えさせられる深いテーマが扱われています」

そのテーマとは”家族の絆”。ミュージシャンを夢見る主人公の少年ミゲルは、先祖の魂を迎える祭礼「死者の日」で町中が沸き返る中、ひょんなことで、先祖たちがガイコツ姿になって暮らす”死者の国”に迷い込んでしまう。そこで出会ったのが、藤木さんが演じるヘクター。ミゲル少年は、陽気だけど孤独なガイコツ、ヘクターを相棒に”死者の国”で冒険を繰り広げる中で、時を超えてつながる家族の奇跡に遭遇する……。

「最初に英語版を見たときから素晴らしいストーリーで感動しました。幅広い方に見てもらいたいですね。子どもたちはミゲルに感情移入して見るでしょうが、大きくなって父親なり母親なりになったとき、今度はヘクターや他の登場人物の立場でも見られる。そうやって、ずっと見続けていける作品だと思います」

苦労した声優の仕事で「子ども孝行」

声優の仕事は今回が2回目。しかし、既に出来上がっている作品に台詞を合わせるのは初めての経験で、苦労も多かった。「登場人物の口の動きに合わせて、台詞の長さが計算されていて、短くても、入り切らなくてもいけない。その場で、台詞を足したり削ったりする作業もありました。台詞を追いながら、感情を込めた表現以外に、そういう部分にも注意を払って、1行1行進めていくのは、すごく難しかった。声を入れ終わるまでは本当に余裕がなかったんですが、入れ終わってみて、子ども孝行できたかな、と思いましたけどね(笑)」

私生活では、3人の父親でもある藤木さんだが、子どもができてから意識がガラッと変わったという。

「価値観や考え方は確実に変わりました。若い頃の自分は、ギタリストや役者になりたいと突っ走っていましたが、きっと親は心配しながら、反対もせず見守ってくれていたんでしょうね。そういうありがたみや、親が抱いていたであろう思いを、やっと感じられるようになりました」

もしこの作品のように、今は亡き親族に会えるとしたら?

「デビュー前、父方の祖母が高齢になって入院していたとき、お見舞いに行ったら、芸能界を目指しているなんて誰にも言っていなかったのに、『いつになったらテレビに出るんだい?』と言われて、ドキッとしたことを思い出します。あれは何だったんだろう。もし今会えたなら、こういう風に働いているよ、と伝えたいですね。仕事の中で自分の至らなさを突き付けられることもしばしばですが、いろんなジャンルのことに挑戦させてもらえるのは幸せなこと。この仕事が続けられるように頑張りたいというのが、今のささやかな願いです」

「子どもを持って、初めて親のありがたみや家族の絆に思い至りました」


プロフィール
ふじき・なおひと 1972年千葉県出身。早稲田大学在学中に映画『花より男子』でデビュー。以降、テレビドラマ、映画、蜷川幸雄演出作をはじめとする舞台公演、また2005年よりトーク番組『おしゃれイズム』のパーソナリティなど、多方面で活躍中。音楽活動に関しては1999年にCDデビュー、昨年もライブハウスツアー、アジアツアーを成功させている。

『リメンバー・ミー』c2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

『リメンバー・ミー』
『トイ・ストーリー3』のリー・アンクリッチ監督によるディズニー/ピクサー最新作。日本版声優陣はヘクター役に藤木直人さん、イメルダ役に松雪泰子さん、ミゲルのパパ役に横山だいすけさん、フリーダ・カーロ役に渡辺直美さん、ミゲル役に石橋陽彩君ほか。3/16(金)より全国ロードショー。※同時上映『アナと雪の女王/家族の思い出』





[MEN’S EX 2018年4月号の記事を再構成]
撮影/柏田テツオ(KiKi inc.) スタイリング/古田ひろひこ(chelseafilms) ヘアメイク/大渡八千代 文/まつあみ 靖 撮影協力/プロップス ナウ

2024

VOL.341

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