価格でも、速さでもない
エグゼクティブがラグジュアリーカーを選ぶ20の理由
高価であること。速いこと。豪華であること。もちろん、それもラグジュアリーカーを形づくる要素だ。
けれど、一台を選ぶ理由はそれだけではない。受け継がれてきた歴史、遠くまで走りたくなる心地よさ、自分だけのために仕立てる愉しみ、名車に宿る希少性や来歴。そして、そのクルマだからこそ出会える特別な体験や文化まで。何を買うかではなく、何を理由に選ぶのか。
エグゼクティブのための、いまのラグジュアリーカー選びを20の視点から考える。
【IV】ONE-OFF ないものなら、つくる
(15)技術を価値へ変える
優れた素材や職人技があるだけでは、ラグジュアリーは生まれない。大切なのは、それぞれの技術をどう組み合わせ、ひとつの価値として仕立てるかだ。日本各地に受け継がれてきたものづくりの力を、デザインの視点で束ね、新しい魅力へと変えていく。そこに、奥山清行氏が考えるラグジュアリーの本質がある。
“モダン・シンプル・タイムレス”という奥山氏の哲学を、細部まで貫いたKode89。余計な装飾を排したクリーンな造形だからこそ、プロポーションや面の美しさが際立つ。時間が経ても古びない、普遍性を目指したデザインだ。
技術だけでは、ラグジュアリーにならない
奥山氏の視線は、日本に残る職人技にも向けられている。飛騨の家具、有田焼、山形・岩手の鋳物、燕三条の金属器など、日本には世界に誇るべき技術が数多く存在する。
しかし、優れた技術があるだけではラグジュアリーにはならない。そこにデザインの力を加え、世界へ発信し、正しく価値へと変えていくことが必要だ。
かつて日本の職人とその美意識は高く尊敬されていた。だからこそ、その技術を単なる製造力としてではなく、正当な対価が支払われる価値として育てていくべきだという。
Kode89の製作現場にも、スケッチから造形、成形、組み立てへと、人の手と技術を積み重ねながら一台を形にしていく、その思想が息づいている。
Japanese Craftsmanship
[MEN’S EX Autumn 2026の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)





