モエ・エ・シャンドン創業280周年を迎えた節目に誕生した特別な1本とは?

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モエ・エ・シャンドン創業280周年を記念して誕生した特別な1本とは?

世界で最も知られているシャンパンといっても過言ではないだろう。モエ・エ・シャンドンはそれほどまでに、様々な祝いの場、そして多くの食卓を彩ってきた。そして、創業280周年を迎えたメゾンは新たなプロジェクトがスタートした。

それは、「コレクション アンペリアル」シリーズと題して、創業300周年に向けて、新作キュヴェを発表していくというものだ。今回、その第1弾として、新しいキュヴェ、「コレクション アンペリアル クリエイション No.1」が発売となった。

今回その発売に合わせて、最高醸造責任者のブノワ・ゴエズ氏と限定ボトルのアートデザインを手がけた現代芸術家のダニエル・アーシャム氏が来日。記念すべき1本が誕生した背景について語っていただいた。

最高醸造責任者のブノワ・ゴエズ氏(右)と現代芸術家のダニエル・アーシャム氏(左
最高醸造責任者のブノワ・ゴエズ氏(右)と現代芸術家のダニエル・アーシャム氏(左)

「コレクション アンペリアル」の発表にあたって、ゴエズ氏は「メゾンにとっても、新しいコンセプトのシャンパンを発表するのは非常に珍しいこと。個人的にもメゾンに携わってきた25年のキャリアの中で一つの到達点と考えています」と述べた。

それほど、今回のプロジェクトはモエ・エ・シャンドンというメゾンにおいて、特別な存在であったのだ。さらに、ゴエズ氏はインタビューの中で、「オート エノロジー(高度な醸造学)」という単語を強調した。

オート クチュールやオート ガストロノミー、オート パフューマリーというように、食やファッションの世界では「オート(高度・高級)」が使われてきた。今回のゴエズ氏は「オート」の概念をワインづくりに取り入れ、「コレクション アンペリアル」をシャンパンにおけるオート クチュールのような存在として位置付けているという。

第一作目「コレクション アンペリアル クリエイション No.1」
第1作目「コレクション アンペリアル クリエイション No.1」
テンレスタンクで熟成させたフレッシュな2013年のグラン ヴィンテージに、オーク樽で熟成した以下のヴィンテージ、洗練された2012年、力強い2010年、緊張感のある2008年、フルボディの2006年、生き生きとした2000年、そして二次発酵後に瓶内で澱とともに熟成させたエレガントな 2004年という7つの傑出したヴィンテージをアッサンブラージュ。ドザージュで糖分を添加することなくその風味を純粋に表現したブリュット ナチュール シャンパン。750ml 希望小売価格:ボックスなし3万3000円、ボックス付き3万4650円。

「コレクション アンペリアル」を理解するうえでは、既存の「モエ アンペリアル」と「グラン ヴィンテージ」のキャラクターを把握し、それらとの違いを体感することが欠かせないとゴエズ氏は説明する。

発表会では、メゾンを代表するシャンパン「モエ アンペリアル」と「グラン ヴィンテージ 2013」をマグナムボトルでテイスティングした。1869年に誕生して以来、メゾンのフラッグシップであり、世界で最も愛されている「モエ アンペリアル」は、シャンパンのブレンドによって生まれた調和、そして立体感のある味わいが魅力だ。

モエ アンペリアルとは、メゾンにとっての“不朽の名作”であるとゴエズ氏は解説する。クラシックかつタイムレスな服のような存在として、心地よさとエレガンスの世界へといざなってくれるシャンパンだ。

一方で、ヴィンテージ シャンパンは独自性をまとうものであり、各ヴィンテージが個性を持っている。試飲用に用意された2013年は、気温の低い天候が続き、開花は例年より3週間遅れ、なんと収穫が10月にずれ込むという、他に類を見ないヴィンテージだった。

コレクション アンペリアル クリエイション No.1

今回の「コレクション アンペリアル クリエイション No.1」は7つのヴィンテージのシャンパンがブレンドされているが、その土台となっているのが「秋のエレガンス」とゴエズ氏が評する2013年だ。ステンレスタンクで熟成された2013年は、生き生きとした果実味、そしてフレッシュ感が特徴。そこに、複雑なアロマを加えるべく、6つのヴィンテージが加えられている。

実は「コレクション アンペリアル クリエイション No.1」は、メゾン初の「ノンドザージュ(補糖しない)」シャンパンでもある。ブレンドが終わり、仕上がったテストボトルを試飲した際に、あまりのその完成度の高さに、「ノンドザージュでよい」と直感的に感じたとゴエズ氏は語る。

メゾンが280年にわたり培ってきたシャンパーニュ造りの技術、そして作り上げてきた様々なヴィンテージの個性、ワインづくりを支えてきた職人の知識と経験を1本に詰めこんだのが「コレクション アンペリアル クリエイション No.1」なのだ。

世界限定85本のデザインボトル
世界限定85本のデザインボトル

「コレクション アンペリアル クリエイション No.1」には特筆すべき点がもうひとつある。 それは、アメリカ人現代アーティスト、ダニエル・アーシャム氏との初のコラボレーションにより制作されたアートピースと世界限定85本のデザインボトルが同時に発売となった点だ。

彫刻作品を得意とするアーシャム氏らしく、シャンパーニュ地方特有の石灰岩に着目。モエ・エ・シャンドンの歴史とエッセンスを白亜色で表現したアヴァンギャルドな彫刻レリーフを制作した。

「コレクション アンペリアル クリエイション No.1」 アートピース
「コレクション アンペリアル クリエイション No.1」 アートピース
シャンパーニュ地方の白亜質の土壌を想起させる彫刻レリーフは、白い鋳造樹脂で制作されたもの。浸食の微妙な痕跡が、時間の経過、そして、ミステリアスな雰囲気を醸し出している。長さ3メートル、高さ1.3メートルの彫刻レリーフは、モエ・エ・シャンドンのセラーに常設され展示される。

「アーティストとは素材を操ること」と語るアーシャム氏。メゾンとの出会いは3年前。現地を訪れ、まず“心に響くもの”を探したという。完成した作品、デザインはメゾンに残る様々な歴史的遺産からインスパイアされているという。

「シャンパンの製造工程がいかにニュアンスに富んでいるか、異なる年や収穫を重ねることがいかに彫刻を構成する芸術と似ているかを実感した」とアーシャム氏は話す。メゾンを訪れて、様々なヴィンテージを試飲したそうで、「ゴエズ氏はそれぞれのヴィンテージごとに、この年はこんな年だった、あんな年だったと解説してくれるのです。ヴィンテージを飲むというのは、その時代を思い出すということでもあります。シャンパンを飲むというのはその時間を誰かと共有することであり、感動を共有することだと思います」とも語ってくれた。

2043年に迎えるモエ・エ・シャンドン メゾン創業300周年という記念すべき節目に向けて、「コレクション アンペリアル」シリーズの今後から目が離せない。

「コレクション アンペリアル クリエイション No.1」の詳細は こちら

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