“食欲の秋”到来である。今も昔も人々は旬の味覚を楽しんでいた。江戸時代後期から始まった落語の演目からもそれは伝わってくる。落語では、江戸の人々のもつ人情や生活ぶりが旬のささやかなご馳走とともに数多く描かれているのだ。
そんな秋の味覚と落語。その双方を楽しめる滞在型プログラムが、現在、東京・大手町にある日本旅館「星のや東京」で開催されている(11月30日〈木〉まで)。「ご馳走落語」と名付けられた本プログラムでは、特別にしつらえたプライベートスペースにて、落語協会所属の真打である玉屋柳勢さんによる『目黒の秋刀魚』を上演。落語を聴いた後は、噺に出てくる秋刀魚はもちろん、鯛、馬肉など噺にちなんだ食材を使用したコース料理を味わうという内容になっている。
落語の演目、『目黒の秋刀魚』は江戸時代、低級な魚として扱われていた秋刀魚を庶民と同じように食べたお殿様が、その味が忘れられないという滑稽噺。本プログラムで設けられた特別鑑賞席は座席から近く、玉屋柳勢さんの息遣いから表情まで見られ、臨場感を味わえるのが魅力でもある。噺のネタに食を含んだ落語を聞き、落語を通じて秋の味覚を堪能していただきたい。
落語を聴いた後には、演目『目黒の秋刀魚』を表現したコース料理が供される。噺に登場するお殿様が日常的に食していた鯛を使った八寸から、遠乗りに出掛ける道中から眺めた風景を表現したフランなど、お殿様が感動した秋刀魚を噺の流れに沿って楽しめるのだ。
端々で噺のシーンを思い出せるような仕立てになっているコース料理。特に秋刀魚の料理は、熱々の状態で提供するため『目黒の秋刀魚』の噺に出てきたお殿様の気持ちになったように出来立てを味わうことができる。プライベートな空間のカウンター席で、落語の余韻に浸りながら秋の口福のひと時を優雅にご堪能あれ。
コース料理の一部(写真4点)
なお、より落語と食事を楽しむための落語講座も開催される。こちらは、落語に馴染みのない方から落語好きな方まで満喫できるようにと、まずは小噺を聴き、落語家と話をしながら、気軽に落語にふれる時間となっている。
他にも、落語の成り立ちや古典落語と新作落語の違いといった基本的なことから、現代の落語業界事情やウラ話など、落語家から直接聴くことができるのだ。扇子を使ったそばとうどんの食べ方の違いや、江戸っ子の食べ方など、現代にも通ずる粋といわれる食べ方を学んでみてはいかがだろうか。
【スケジュール例 】16:00 落語講座 → 16:30 落語の鑑賞 演目『目黒の秋刀魚』→ 18:00 夕食目黒の秋刀魚のコース料理を楽しむ
「ご馳走落語」概要
■期間:11月30日〈木〉まで
■定員:1組4名様まで
■場所:星のや東京館内
■料金:1名8万円、2名の場合9万8150円、3名の場合11万6300円、4名の場合13万4450円 (税・サービス料込)*宿泊料別
■含まれるもの:落語、落語講座、ご馳走落語コース料理
■予約:公式サイトにて14日前までに要予約
■対象者:星のや東京宿泊者
■備考:状況によりメニューの内容、食材が一部変更になる場合あり。
星のや東京
現代にあわせて進化した「塔の日本旅館」。地下2階、地上17階の塔の空間は、畳敷きの玄関、伝統的な和室や各階のお茶の間ラウンジ、最上階の温泉で構成される。日本の歳時記に合わせた室礼、日本文化を身近に感じられる体験や日本旅館らしいおもてなしを提供してくれる。
住所:〒100-0004 東京都千代田区大手町一丁目9番1
TEL:050-3134-8091 (星のや総合予約)
料金:1泊 11万2000円~(1室あたり、税・サービス料込、食事別)
URL:公式サイト