Q. 多芸ダブルはどう着こなす？
締めてよし、緩めてよし。
［左］Liverano & Liverano
［右］Dalcuore
サルト仕立てのダブルも極めて多芸
左：広めの肩幅から美しくノボる曲線美にあふれたショルダーラインは不朽のクラシックにして多芸ダブルの条件にもピタリと合致。62万7000円／リヴェラーノ & リヴェラーノ（リヴェラーノ & リヴェラーノ 大阪）
右：サルトリア・ナポレターナの雄にして卓越した先進性も備えるダルクオーレはモダンなダブルスーツ作りの名手でもある。極めてソフト、それでいてクリーンな肩周りは出色だ。53万2400円／ダルクオーレ（フィロロッソ）
今改めてスーツに回帰するなら“多芸ダブル”こそ買いの筆頭候補。こちらの記事でこう提言したわけだが、ダブルスーツを着慣れない人は“どう着ればいいの？”と戸惑うかもしれない。が、多芸ダブルの魅力はその実、どう着てもサマになる着こなしやすさにこそある。
前述のようにオン・オフ・ドレッシー・カジュアルの全方位をカバーできるわけだが、その中庸さゆえタイドアップでキリッと引き締めても厳めしく見える心配は無用。ダブル初心者でも難なくトライでき、日常のビジネスシーンでも仰々しく見えることはないはずだ。一方カジュアルに着流すのも至極簡単で、タートルネックなどのニット全般と好相性。肩の力を抜いてコーディネートしても、バブル時代のような軽薄さは皆無だ。
さらに『多芸ダブルスーツは着回し力以外にも技あり』の記事（近日公開）で解説のとおり、シングルよりも細部の着こなしで遊べる点もダブルならではの魅力。難しく考えずとも装いが決まり、それでいて微差のこだわりがいもあるという、実に懐の深いスーツなのだ。この便利さこそ“多芸”たるゆえん。スーツの楽しさを改めて実感できるだろう。
Q．もっと差がつくWのこなし方は？
外しの美学をアニェッリに倣う
外しの達人ジャンニ・アニェッリは、ダブルの装いも見事。写真ではボタン下掛けで着ているが、あえて身頃内側のボタンを留めず下前をめくれさせている。これは1990年代の写真だが、多芸ダブルを今、着こなすうえでも真似できそうな上級テクニックだ。
［MEN’S EX Autumn 2023の記事を再構成］
※表示価格は税込み。
