空力に優れたキャブフォワードデザインを採用
メルセデスの電気自動車ブランド“メルセデスEQ”ファミリーに新たに加わったのが、3列シート7人乗りのラージサイズSUVである「EQS SUV」だ。
メルセデスの内燃エンジンを搭載した3列シート7人乗りのラージサイズSUVといえば、「GLS」だが、EQS SUVのエクステリアは、キャブフォワードデザインを採用しており、スクエアなGLS とは大きく雰囲気が異なる。これは電力消費を抑制するために空力性能を重視したためで、Cd値は0.26とSUVとしては異例のよさを誇る。
ボディサイズを比較してみる。GLSは、全長5210/全幅1955/全高1825mm、ホイールベース3135mm。一方で「EQS SUV」は、全長5130/全幅2035/全高1725mm。全長はGLSよりも80mm短いものの、電気自動車専用のプラットフォームの恩恵で、ホイールベースは3210mmとGLSに比べて75mmも長いこともあって室内は広い。クーペSUVのようなスタイリングに見えるが、2列目シートのヘッドクリアランスも広く取られている。座面は前後に13cmスライドし、バックレストは前方に14度、後方に4度リクライニング可能な電動シート機能を標準装備する。そして、3列目は左右独立の2座タイプで、約180cmの大人でも座ることができるしっかりとしたつくりとなっている。格納時は床下にフラットに収まるため、3列目シートを倒せば、最大4つのゴルフバッグが積載可能。さらに2列目もあわせて格納すれば荷室容量は最大2020リッターとなる。
インテリアは、インストルメントパネル全体が一枚ものの湾曲するガラス板によって覆われたMBUXハイパースクリーンが特徴的だ(580に標準装備、450はオプション)。これにはiPhoneなどが採用することで知られるゴリラガラス(強化ガラス)を採用する。
一枚ガラスの中身は、ドライバー正面の12.3インチディスプレイ、センターの17.7インチOLEDタッチディスプレイ、助手席正面の12.3インチOLEDタッチディスプレイの3つによって構成される。センターと助手席のディスプレイには触覚フィードバックが備わり、直感的に操作しやすいものだ。助手席用のディスプレイは、助手席の乗員を検知すると起動し、走行中もテレビなどが視聴可能。実はドライバーの目線も検知していて、走行中にドライバーが助手席用ディスプレイを見ていると判断すれば、画面を消すという安全に配慮した設計となっている。よそ見は禁物というわけだ。
また最近のラグジュアリーカーは、コロナ禍を経て車内の空気をいかにクリーンに保つかに創意工夫をこらしている。このEQS SUVでもDIN 規格の A2 用紙(420×594mm)とほぼ同寸の大型 HEPA フィルターを採用。PM2.5~PM0.3 クラスの微粒子含め、粒子状物質を最大 99.65%以上除去するという。ディスプレイによって室内、室外の汚染状況をモニターすることも可能だ。
EQS SUVのモデルラインアップは、最大出力265kW/最大トルク800Nmの「450」と、400kW/最大トルク858Nmを発揮するハイパワーバージョンの「580」の2種類がある。いずれも前後2基のモーターで4輪を駆動する4MATICだ。両モデルともに107.8kWhの新世代大容量リチウムイオンバッテリーを搭載しており、一充電航続距離は、前者が593km、後者は589kmとなっている。