夏の陽ざしが強まるにつれ、リゾートへの逃避行を企てたい思いが募り始める。スーツケースには、どんなワードローブを詰め込め込もうか?
「ファッション撮影は、まるで美術館に行くような気分で新しい発見と刺激がある」――そう語ってくれた俳優・町田啓太が魅せる、真夏のエレガンス。
「自分を広げ、自信を持って、楽しみにしながら挑戦の場に立ちたい」
「まだ早いかな」と思える服が与えてくれる自信を纏う
シリアスなドラマからコメディタッチの作品、さらに大河ドラマをはじめとする時代劇まで、活躍の場を広げながら、着実に存在感を増してきている俳優・町田啓太さん。現在、WOWOWで3シーズンにわたって放送・配信されている「連続ドラマW フィクサー」に出演中だ。
表舞台に立つ権力者と、陰で暗躍するフィクサーと呼ばれる存在との虚々実々の駆け引き、権力と金に群がる人間模様、そこに真実とスクープを求めて切り込む毎朝新聞政治部記者、渡辺達哉という役どころ。7月9日から始まるシーズン2の予告動画によれば、彼に殺人未遂容疑がかけられる。予断を許さない展開に期待が高まる。
「政治部の記者というのは、新聞社の中でも特に熾烈な環境下にあるという話を聞いて、今回の役ではかなり前のめりに物事に首を突っ込んでいくキャラクターを意識しています。僕自身は“オレについてこい”というタイプではないのですが、作品性を大事にしながら、自分なりの感性や価値観、アイデンティティを反映させ、役柄同様、前のめりに挑戦しています。この現場で大先輩に交じってお芝居をさせて頂ける時間が本当に楽しい。こういう演出や、そういう表現があるのか、と刺激をたくさんもらっています。昨年10月頃から撮影がスタートして、出演者の皆さんの顔を思い浮かべながら準備をしてきました。先輩方が、トライするほど受け止めてくださるというか、なにが正解か不正解か分からない中でも、挑戦していっていいんだという空気感が強まってきたのを実感しています」
中でも設楽拳一というフィクサー役で主演の唐沢寿明さんから、感化される部分は大きいという。
「唐沢さんは膨大な台詞量なんですが、すべてが明瞭で、どんな台詞でも感情の乗せ方が凄い。完璧以上です。そういうプロフェッショナルな姿を目の当たりにして、ご覧頂く皆さんにちゃんと届けることができて、楽しんでもらえるよう、自分ももっとやらなければと反省することが多いですね」
そんな町田啓太さんが、夏のリゾートを意識したエレガントな装いに身を包んだ。
「ファッションシューティングは、俳優の仕事で衣装を着るのとは違って、美術館に行くような感覚がありますね。服のコンセプトやポイントを教えてもらいながら、あくまでも服をメインに、自分の感覚も少し引き出し、コーディネートごとに新しい刺激をもらえるような。なかなか長期の休みがないので、リゾートにも行けていないですし、実はヨーロッパに降り立ったことがないんです。だから却って、街中がアートのようなイタリアだったり、フランスやイギリスへの憧れもあります。日常ではなかなか着られないものでも、特別感のある場所だと自然と着られるような気がしますし、こういう気候だから、こういう服なんだと、新しい発見もあると思うんです」
2022年からトッズフレンズに就任、ファッションに対する視野も広げ、好奇心や理解度も高まっている。
「トッズさんのアイテムは、毎シーズン着ていないもの、履いていないものがないぐらい、いろいろ身に着けさせて頂いています。それ以外にも、モード系からクラシック系まで、撮影その他で、いろんなハイブランドの魅力に触れる機会がありますが、袖を通してみると、多くの方を魅了している理由が分かりますね。なかなか背伸びしないと着られなかったり、ドレッシーだったり紳士的だったりで、自分にはまだ早いのかなと思うこともありますが、逆にそれを纏わせてもらうことで、不思議と自信をもらえます。最近は’80年代感というのか、あの時代のゆったりしたフォルムや雰囲気を取り入れたデザインにカッコよさを感じます」
この7月で33歳。これから、ますますラグジュアリー感のある大人の着こなしが似合いそうな町田啓太さんだが、俳優として、どんな方向を目指そうとしているのだろうか。
「よくそういう質問を受けるんですが(笑)、絶対こうなりたいというのはないんです。漠然としたものは、もちろんありますが、今、取り組んでいる作品をよりよくするために挑戦している、それだけです。遠い将来ではなく、ちょっと先を見ながら、今を充実させようとしていることが、少しずつ大きくなっていけばいいなと。ものづくりの現場は、いろんな感性の持ち主が集まって、それをフル活用し、相乗効果で2倍にも3倍にも膨れ上がって爆発力が生まれると思うんです。だから僕も、自分自身をフル活用できるように、もっともっと自分を広げていきたい。毎回頭をひねりながら、何かしらアウトプットしなくてはいけないので、役づくりだけではなく、見えない部分も磨き、自信を持って、自分自身が楽しみな気持ちで挑戦の場に立てるようにしたいと思っています」
熱い思いを抱いて前を向きながら、敢えて表面は穏やかに。そして今を大切にしながら、着実にキャリアを積み上げようとするスタンスが潔い。そんな町田啓太さんを包み込むリラックス感のある、エレガントな着こなし。ひととき暑さをしのいで英気を養い、次のステップへと向かう大人のスタイルが、ここにある。
Keita Machida
1990年群馬県生まれ。2010年「第3回劇団EXILEオーディション」に合格し、同年俳優としての活動を開始。WOWOWで7月9日から放送・配信が始まる「連続ドラマW フィクサー」シーズン2に出演。映画「ミステリと言う勿れ」が9月15日公開予定。大河ドラマ出演3回目となる2024年度の「光る君へ」では藤原公任を演じる。
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