SUITS OF THE YEAR 2022
スポーツ部門
プロ野球界で18年ぶりとなる3冠王を史上最年少で獲得し、チームのリーグ優勝に大きく貢献。シーズン最終打席では56本目の本塁打を放ち、日本人年間最多本塁打も記録した。日本中を元気にしたその功績に本賞を授与する。
強くて心優しき令和初の3冠王
東京ヤクルトスワローズ
村上宗隆
村上宗隆(むらかみ・むねたか)
2000年熊本生まれ。’17年ドラフト1位でヤクルト入団。2年目の’19年には全試合出場し、リーグ3位の36本塁打で新人王に。’20年は最高出塁率とベストナイン獲得。’21年には東京五輪の侍ジャパンに召集され、金メダルに貢献。同年9月に史上最年少で100本塁打達成。’22年には史上最年少で3冠王に輝き、王貞治氏を抜く56本塁打も達成した。
“子どもの頃から負けず嫌い。まだまだ上を目指します”
神宮球場の一角に急ごしらえした撮影スペースに、村上宗隆さんはトレンドのモスグリーンのスーツで現れた。グリーンは東京ヤクルトスワローズの球団カラーであり、自身のラッキーカラーでもあるそう。最近お洒落に興味が出てきたが、既製品だと鍛え上げた身体に合う服がなかなか見つからないのが悩み。このスーツもオーダーで仕立てたものだ。お似合いですよと言うと、はにかんだような笑顔を浮かべる。眼光鋭く球を待つ、バッターボックスの中の彼とはまるで別人だ。しかし野球の話になると、たちまち表情が引き締まる。
「多くの方に応援していただきましたが、日本シリーズでは良い成績を残すことができませんでした。それが悔しくて。また来年も同じ舞台に立ち、次こそいい結果が残せるように頑張りたいです」
本人曰く、子どもの頃からとても負けず嫌いの性格。負けて落ち込みたくないため、友達とゲームの類もまったくしなかったそうだ。
「今シーズンの3冠王も本塁打記録も、大きな挑戦でしたからとても嬉しく感じています。ただ数字的には満足していません。自分が打っていたら勝てたという試合もいっぱいあります。たとえば本塁打についても、途中で60本いけるんじゃないかと皆さんに言われていながら達成できなかった。来年はそこを目指し、そしてもう一度3冠王に輝きたい」
高みを目指すのは、今まで彼を応援してくれた全ての人への恩返しの気持ちの表れでもあると言う。
「今の監督やコーチはもちろん、子供の頃から今に至るまで、指導してくださった全ての方々に感謝しています。またバットやグローブ、スパイクなどの道具に関して手厚くサポートしてくださる方々にも。皆さんの期待に応えるためにも、さらに努力して、まだまだ成長していきたいと考えています」
そういう感謝の気持ちは自分が生まれ育った熊本市にも向けられている。高校2年の時に熊本地震を経験。そのとき大きな被害が出た熊本城の復旧を後押しするため、プロ2年目で1軍に定着した19年より、本塁打を打つたびに熊本市に寄付金を届けている。令和の3冠王は、故郷を想うとても心優しき青年なのだ。
来年3月に始まるWBCでは日本の主砲を務める。意気込みを伺った。「日の丸を背負う責任を持って挑みたいと思います。五輪のときとはまた違った緊張感があるでしょうが、自分が引っ張っていけるよう今からしっかり準備したい。どうぞ期待していてください!」
「村上さんにとってのスーツとは?」
気持ちを引き締めてくれる特別な装いだと感じます
UNIVERSAL LANGUAGE MEASURE’S(ユニバーサルランゲージメジャーズ)
好みのグリーンで仕立てた“勝負”スーツ
ナポリスーツの伝統技術とシルエットを巧みに取り入れた一着。軽い仕立てに加え、要所を職人が手縫いしたことでフィット感は格別だ。モスグリーンの生地は伊・ドラゴ社の「スウィング」。高級なスーパー130’S原毛でナチュラルストレッチを叶えている。
※表示価格は税込み
[MEN’S EX Winter 2023の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)