その名が生まれたのは1800年代! クロノグラフの原点は競馬好きの王様のために

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最も身近な複雑時計であり、デザイン性も高く、メカ好きからファッション好きまでを魅了するクロノグラフ。そんなクロノグラフ180本を紹介するバイヤーズガイド『超本格クロノグラフ大全』から、その中身をピックアップしてご紹介。

クロノグラフ再考
なぜクロノグラフ誕生した?

クロノグラフはどのような目的のもとに生み出され、また変化していったのか? 19世紀のポケットウォッチ時代と、腕時計に進化してからの変遷を紐解く。

クロノグラフ再考 なぜクロノグラフは誕生した?

時代が求める用途に合わせスタイルを変える精密計器

古代ギリシャ語の“CHRONOS(時間)”と“GRAPHOS(書く)”を語源にもつクロノグラフ。この言葉を作り出したのは19世紀の時計師ニコラ・リューセックといわれる。リューセックは1822年に懐中型のインク式クロノグラフの特許を取得。可動式のペン先からインクを出させ、文字盤に任意の秒と分を書き記す方法を考案。その文字盤にはリューセックの名とともに“CHRONOGRAPHE”とある。フランス王ルイ18世の宮廷時計師だったリューセックは、競馬好きな王のためにレース開始からゴールまでの時間を記録する目的でこれを作ったという。

20世紀に入ると、モータリゼーションと航空の時代が到来する。自動車、航空機、スポーツ、レジャーなど、多くの産業で急激な技術革新が進んだ。時を同じくして時計業界でも大きな変革が起こる。第1次世界大戦あたりを境に、いちいちポケットから取り出して、手に持って時間を確認しなければならなかった懐中時計に代わり、手首に装着して何時でも時間を見れる腕時計が登場したのである。

これにより、それまで懐中型を手がけていたクロノグラフの名門も腕時計型に焦点を合わせる。航空界と関係の深いブライトリングは、1915年、パイロット用に初の腕時計型クロノグラフを製作。’23年にはより操作性に優れた独立プッシュボタン式モデルも開発した。一方、ジャック・ホイヤーの就任以降、モーターレースとの関係を深めていたホイヤーは、’60年代にレーシングクロノの名作を連発。’62年に’30年代に作られたダッシュボードタイマーの名を継ぐ「オータヴィア」、’63年には名門レースに着想を得た「カレラ」を発表する。さらに、セイコーも東京オリンピックに合わせ、’64年に国産初の腕時計クロノグラフを生み出した。

このように時代の要請に応じ、クロノグラフも形を変えつつ現在に至るのだ。



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