躍動する、現役アスリート経営者

バスケットボール選手
髙田 真希
Wリーグ20-21では5年連続9度目のベスト5に。そして東京五輪では主将としてチームを銀メダルに導いた髙田真希さん。じつは彼女は“現役アスリート経営者”でもある。多角的な挑戦と活躍を讃え、本部門賞を贈る。

髙田 真希(たかだ・まき) Maki TAKADA
【profile】
1989年愛知県生まれ。桜花学園高校卒業後2008年デンソーアイリス加入。’09年日本代表に選出され、’18年からキャプテンに。’21年東京五輪では銀メダル獲得に大きく貢献。株式会社TRUE HOPEの社長も務める。
“辛い時こそ、一歩前へ”
日本の女子バスケットボールがこんなに注目される状況になるとは、関係者の誰も思っていなかったかもしれない。もちろんこれは東京五輪で女子日本代表がメダルを獲得したことに端を発する。そのチームをキャプテンとして牽引したのが髙田真希さんだ。アスリートを集めたTVのバラエティ番組などで見かけるジャージー姿とは一転、今日は凛としたスーツ姿でご登場いただいた。新鮮だが、とてもよく似合っている。トレードマークの金髪とスーツのブラウンカラーがマッチ。パンツのワイドシルエットも綺麗に決まっている。
「年齢を重ねてきてジャケットを着る機会は増えましたが、こういうスーツは初めて。街を歩いて、まわりからどういうふうに見られるのか試したいですね。最近は仕事の関係でいろんな人とお会いするので、こういう格好で臨んだらひとついい話題になるのかなとも思います」
ここで髙田さんが言う“仕事”とは、2020年4月に立ち上げたイベント会社「TRUE HOPE」での活動のことだ。もっと多くの人にバスケの魅力を伝えたいとの想いで立ち上げたもので、コロナ禍の今はオンラインのみでの活動だが、落ち着いたらバスケ教室など子どもたちやファンと直接触れ合うイベントを開催していくと言う。しかしトップアスリートが現役中、自身のマネジメント以外の会社を興すのは極めて異例なはず。なぜ今、二足のわらじを履くのだろうか。
「引退してからでは遅いんです。現役時代の私と触れ合ってもらいたい。現役のほうがインパクトも大きく、もっと多くの人に応援してもらえるようになるんじゃないかと。次のステージでもバスケと楽しく携わるためにも、今やるべきことだと考えました。この会社を作ったことでアスリートとしての活動が疎かになるとは考えていません。むしろ注目を浴びるからこそ、今まで以上にバスケと真剣に向き合い、さらに良いパフォーマンスをしなければと思うように。良い相乗効果を感じています」
所属するデンソーアイリスは、10月に開幕したWリーグで連勝スタート。髙田選手はチームのポイントリーダーとしても勝利に大きく貢献している。アスリートとしての次の目標を聞くと、3年後のパリ五輪での金メダルと力強く語る。
「出場を保証されているわけではありませんので、これからの1年1年が大切。選手も社長業も頑張り、3年後はもっと多くの人が日本女子バスケの活躍に注目してくださるといいですね」