独創的なデザインのDSに追加された個性派PHEV
公用車として認められたフレンチSUV
DSオートモビルは、2014年にシトロエンから派生したラグジュアリーブランドだ。1950年代に登場し宇宙船のようなスタイルでいまなお世界中にファンをもつ名車「シトロエンDS」をルーツとするブランドだけに、DSモデルのすべてに共通するのは、独創的なデザインであること。
最新のDSモデルでは、ルーブル美術館の中庭にあるガラス製ピラミッドにインスパイアされたというダイヤモンドパターンの造形をキーアイテムとしている。そしてそれは、エンブレムをはじめ、フロントグリルやリアライト、インテリアのスイッチ類などに、ふんだんに用いられている。
またシトロエンDSといえば、フランスを代表するプレステージカーであり、フランス大統領の公用車として使われてきた歴史がある。1973年にはイギリス人作家フレデリック・フォーサイスのフランス大統領暗殺未遂事件を描いた小説『ジャッカルの日』が映画化され、シトロエンDSはその劇中車として世界的な注目を浴びた。
いま、その跡を継ぐ公用車が、ミッドサイズSUVのDS 7 クロスバックだ。2017年のエマニュエル・マクロン大統領の就任パレードの際にも沿道に駆けつけたフランス国民に手を振って応えられるよう、オープンルーフ仕様になったDS 7 クロスバックがその大役を務めた。
DSの電気自動車を表すE-TENSEを新たに追加
昨年、新型フラッグシップサルーン・DS 9が発表されたので、とって代わられる可能性はあるものの、SUVが公用車としてフォーマルな場でも通用すると認められたというわけだ。
そのDS 7 クロスバックに、追加されたのがプラグインハイブリッドモデル(PHEV)の「DS 7 クロスバックE-TENSE 4×4」。ちなみにE-TENSE(イーテンス)とは、DSブランドにおける電気自動車(BEV)およびPHEVといった電動車を表すモデル名だ。
フロントのボンネット内には、小排気量ながらも高出力で燃費性能にも定評のある1・6リッターガソリンターボエンジンを搭載し、前後アクスルにそれぞれ1つずつ計2基の電動モーターを組みあわせている。システム総合出力は300PS/520N・mと十分にパワフルなものだ。容量13・2kWhの走行用リチウムイオンバッテリーをリアシート下に格納。一充電あたりのEV走行可能距離は56km(WLTCモード)と、家庭に充電設備があれば、日常はほぼBEVとして使用可能だ。