ただ流行を追いかけるだけでなく、１年を通して季節の旬なアイテムや行事の楽しみ方を知っている。そんな男性こそ真に成熟した、紳士といえるだろう。粋な趣味人を目指すため、四季で味わいたいモノ・コトを季題に取り挙げた、お洒落の歳時記を画伯が紹介する。

今月のお題 大人の家こもり遊び

綿谷画伯（以下綿）　ねね、突然だけど、Ｈくんって小学生頃はどんな遊びに夢中になった？

編集H（以下H）　ねねって……。画伯の”ね”が2つついたときは締め切りを延ばす相談とか、あまりいい話じゃないんだよなぁ。

綿　またまた～（苦笑）。

H　またまた～って……。画伯の”また”が２つ……まいっか（笑）。えーと、小学生の頃ですか？　ボクは今31歳。平成元年生まれですが、ボクぐらいの世代は何といってもミニ四駆ですね！　小１ぐらいにちょうどアニメがはやり始めたときで色んな種類のパーツや車体がでたんですよ。

で、親父にコースを買ってもらい、車体に色塗ったり窓に穴を開けてメッシュ塗ったり。よく好きなコの前で走らせてアピールしてましたよ（笑）。女のコが家の前で縄跳びしてるのを塀の角から確認して、そこに目掛けてミニ四駆を走らせるワケです。「オレの愛車を見てくれよ！」みたいな（笑）。

綿　少年Ｈくんの恋の暴走（笑）。なかなかやるね～。世代は違えど、なんだかんだいって男のコはクルマが好きだよね。というのも実は今、スロットカーレーシングを復活させたいと考えてるんだ。

目指せM.E.グランプリ おこもりスロットル

H　なんですか。そのスロットカーレーシングって。

綿　１９５０年代に英国で登場し、’60年代半ばにアメリカ経由で日本に渡ってきたモーター付き自動車模型で、スロット（溝）のついたレーンに沿って走らせることからスロットカーレーシングという。そのスロットの両側には電線があり、スロットカーの底面に設けたガイドという出っぱりをスロットにかみ合わせることで電力を得て走る、そんなプラモデル。

H　なんかよくわからない説明だけど、すごいアナログで男心をくすぐるオモチャと理解しました。

綿　それでよろしい（笑）。当時は日本でもブームで、ボーリング場などに専用サーキットが登場してさ、ませた子どもやお兄さんが１／24スケールの葉巻型フォーミュラーのカッコいいスロットカーを持ち込んでレースで競い合ったんだ。その頃アイビーブームと重なったこともあってさ、スロットカーがメンズクラブの表紙を飾ったり、アイビーなお遊びとして誌面で紹介されたこともあるんだよ。

もちろんボクもスロットカーを組み立てたさ。でも当時小２のボクは、「不良の溜まり場みたいなサーキットは行っちゃダメ」と親から禁止令が出ちゃって……。その後になって、家庭用の１／43スケールのスロットカーとレーンのセットを買ってもらったけど、１／24に比べるといまいち迫力に欠けていてね。そしたら今でも細々と都内近郊にサーキットがあるというじゃない！　なんだか急に懐かしくなってね。このコロナ渦が落ち着いたらさ、サーキットを貸し切りにしてグラス片手に〟Ｍ．Ｅ．グランプリを開催しようよ。もちろんその際はお洒落してね。まずは手始めにイカしたレーシングカーを組み立ててと。ねね、Ｈくんも一緒にやろうよ！

H　いいですね。ボクは”アイビーなお遊び”というフレーズが琴線に触れました（笑）。

綿　Ｈくんは広報として、ミニ四駆でブイブイ言わせた頃みたいに可愛い女のコを集めてください。

H　画伯はその歳でまだ女のコですか!?じぃーじなんだから、お孫さんとミニ四駆であそびなさい。