お洒落を心得るファッション通な男たち。スーツ＆ジャケットを着るのも習慣の一つだ。ここではそれの際のさりげないこだわりの流儀を教えてもらった。
【ファッションディレクター・森岡 弘さんの流儀】
ニットで大人感を醸し出す
「仕事柄、時間に追われること、動き回ること、様々な職種の人と会うことを考えると装いが堅すぎてもフィットしません。そのような時、救世主となるのがハイゲージニット。ニットアイテムは何が良いかというと着心地はいうまでもない。ポイントはコーディネートの幅と大人感。そして趣味の良さを印象づけるところですね。この先はモックネックやタートルネックも大活躍決定です！」
年相応を考えて、仕事の際はジャケットスタイルがベースの森岡さん。
「ニットポロに関してボタンは全留め。これが私のお約束です」
ファッションディレクター
森岡 弘さん
雑誌、広告の他、企業トップやスポーツ選手のパーソナルスタイリングなども手掛ける。MEN’S EXのドレススタイルのご意見番。
【ブリッラ ペル イル グスト ディレクター・無藤和彦さんの流儀】
キーアイテムは“直感”で導き出す
「朝、窓から見るその日の天気や、気分に応じて、ワードローブを眺め、今日着たいキーアイテムを“直感的”に決め、それに合ったコーディネートを瞬時にしています。一見当たり前のように感じるかも知れませんが、自然体でいることが自分らしくいることだと思っています。自然体でいることで、自身の内面やキャラクター、〇〇さんっぽいというスタイルにつながるのだと思います」
派手な飾りけはないが個性をはっきりと表現するのがモットー。
「一見してシンプルでありながらも、奥の深さをもっていると思っています」
ブリッラ ペル イル グスト ディレクター
無藤 和彦さん
ビームスのドレスクロージング部門「ブリッラ ペル イル グスト」の立ち上げ役。最新のコーディネートをインスタグラムでも積極的に発信中。@kazuhiko.muto
【ソブリン ブランドディレクター・太田裕康さんの流儀】
タイドアップ×ホーズが大人のマナー
「基本的にタイドアップの際には、靴下（ホーズ）をはくのが流儀。ネクタイをした時のスタイルとしては、素足を見せないというのがマナーだととらえています。またそのほうが第三者に対しても印象を損なわないと思います。ただし、リネンやコットンスーツの時にはその限りではありません。ソックスの色はネイビーが基本でグレー、ダークブラウンをシューズによって使い分けています」
ネイビースーツにネイビーの靴下、黒のドレス靴という王道でストイックな合わせ。素足を見せないのは欧米でもお約束の紳士なスタイル。
ソブリン ブランドディレクター
太田 裕康さん
学生時代にユナイテッドアローズでアルバイトをはじめ、1995年に入社。ザ ソブリンハウスの立ち上げに参画、現在は企画など幅広く活躍。
【イラストレーター・綿谷 寛さんの流儀】
チーフは無造作がちょうどいい
「ポケットチーフはさりげなく、あたかもチーンッと鼻をかんだあと無造作に胸ポケットに押し込んだように挿すのが私の流儀……と、鏡の前で悪戦苦闘しながら30分。なんとか計算に計算を重ねてさりげなさ（？）を作り込んで、よし！と勢い出かけたら、1時間もしないうちにチーフはポケットの底に沈んで顔が隠れてしまい…（涙）。心で泣いて、顔で笑って。修業ですよ！修業！」
「世界一カッコよくポケットチーフを挿すラルフ ローレンのカタログを参考に、スリーピークスをアレンジしてあーでもない、こーでもないと……」
イラストレーター
綿谷 寛さん
日本を代表するファッションイラストレーター。近著に『STYLE 〜男のファッションはボクが描いてきた』（小学館刊）がある。
【BRIFT H代表・長谷川裕也さんの流儀】
手元はあえて目立たせない
「ドレススタイルには腕時計が欠かせません。職業柄、靴を見られると思われがちですが実は靴磨きの作業を通して一番見られているのは手元なんです。約１時間かけてお客様の靴をじっくりと磨く間、お客様には靴に意識を向けて頂きたいのでできる限り腕時計はブランドが分かるような派手なものはつけないようにしています。手元は目立たせない。これが僕のオシャレの流儀です！」
クラシカルな雰囲気の時計にナイロンベルトで抜け感を演出。
「持っている時計はアンティークを中心に10本程。その日の装いに合わせて選びます」
BRIFT H代表
長谷川 裕也さん
靴磨き専門店「BRIFT H」代表。2019年末に虎ノ門にバー併設型の「THE SHOESHINE AND BAR」をオープン。第1回靴磨き世界チャンピオン。
※表示価格は税抜き
［MEN’S EX 2020年10月号の記事を再構成］（スタッフクレジットは本誌に記載）
