ジャケットは「3つの分類」に区別して揃える
ジャケットはあらゆる場面にフィットする万能着であるとこちらの記事で述べたが、もちろんTPOごとに相応しいジャケットとそうでないものがある。
そこで本誌は、世の中のジャケットを下の3つに大別し、それぞれに適した着用シーンを考えてみた(下図)。
ここからわかることは、最も幅広い場面に対応する「モダン・テーラード」のジャケットを手厚く揃えつつ、格式高い場に臨むための「サルトリアル・クラシック」と、休日に寛いで着るための「イージー・カジュアル」で両極を固めれば完璧ということ。
この3分類を意識して揃えれば、ジャケットスタイルの幅がグッと広がるはずだ。効率的ワードローブ構築の指針として、念頭に置いておくとよいだろう。
最も守備範囲の広い[モダン・テーラード]
TAGLIATORE / タリアトーレ
しっかり体に沿う、上質なテーラードジャケットを指すグループ。伊・英・米・日など国籍は問わず、本誌頻出の定番ブランドは多くがここに属する。様々な場面に合う汎用性とともに、“今”を表現する時代性も考慮して選びたい。
ダブルながら背裏も袖裏も省き軽快に仕立てたタリアトーレの「ダレル」は、まさに旬を体現する一着だ。8万9000円(トレメッツォ)
Point!
●手とマシンを融合した上質仕立て
●5年程度を目安に更新
●時代性と本格感をともに意識して選ぶ
●大人が重点的に揃えたいカテゴリ
●最も幅広い装い・シーンに対応可能
【その他の代表ブランド例】
スティレ ラティーノ、ベルヴェスト、カルーゾ、ラルディーニ、リングヂャケットetc.
真の上質を知るための[サルトリアル・クラシック]
SARTORIA CIARDI / サルトリア チャルディ
ビスポークやそれと同等の伝統的仕立てによるジャケット。そのクオリティを肌で知っておくということは、テーラードを着こなす上で大きな素養となる。虎の子の一張羅として、生涯の友となるはずだ。
ナポリのチャルディによるこちらは、ハンドメイドによる立体的な仕立てが出色。ゴージを低く設定したクラシックなワイドラペルが風格たっぷりの佇まいだ。39万円(日本橋三越本店)
Point!
●ハンドメイドの最高級仕立て
●基本的に一生もの
●トレンドより普遍性を重視して選ぶ
●無闇に数を増やす必要はナシ
●格式高い場所で着るための服
【その他の代表ブランド例】
ビスポークジャケット全般、チェーザレ アットリーニ、キートンetc.
休日を楽しむための[イージー・カジュアル]
GIANNETTO / ジャンネット
ドレスアップする必要はないが、シャツやニット一枚では心もとない。そんな場面で”大人感”を表現するためのジャケット。仕立て云々より、ブルゾンやシャツの感覚で気楽に選ぶものだ。
価格的にも手頃なので、色柄の効いたものも積極的に取り入れたい。こちらは南伊のシャツブランドによる作。極限に軽い仕立てに加え、袖ボタンも省いている。4万5000円(トヨダトレーディング プレスルーム)
Point!
●とにかく軽いシンプルな仕立て
●1〜2年程度で買い換える気持ちで
●“今の気分”を重視して気楽に選ぶ
●装いの幅を広げるワードローブのアクセント
●“ラペル付きシャツ”感覚でカジュアルに着る
【その他の代表ブランド例】
シャツブランド製ジャケット全般(バグッタなど)、ジャージージャケット全般(チルコロ 1901など)etc.
※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2020年4月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)