東京五輪のゴルフ日本代表ヘッドコーチを務める丸山茂樹プロが、さまざまなオリンピアンたちと語らいながらライフスタイルを深堀りする今企画。第3回は男子柔道で五輪3連覇を果たし、東京2020聖火リレー公式アンバサダーも務める野村忠宏さんを迎えた。
【Fun for Win】VOL.03
東京五輪ゴルフ日本代表ヘッドコーチ 丸山茂樹×野村忠宏[前編]
丸山茂樹さん MARUYAMA Shigeki
1969年生まれ。千葉出身。日本ツアー通算10勝。2000年より米ツアーに参戦し3勝。2002年には伊澤利光プロとのペアでゴルフワールドカップを制覇。東京五輪ではリオ五輪に続き、ゴルフ日本代表のヘッドコーチを務める。愛称は“マルちゃん”。
野村忠宏さん NOMURA Tadahiro
1974年生まれ。奈良出身。アトランタ、シドニー、アテネの男子柔道60キロ級で柔道史上初の五輪三連覇を達成。40歳で現役引退し、メディア出演や講演活動などを通して柔道の普及に尽力。アスリートをサポートする会社「Nextend」の代表も務めている。
「鍵を握るのは朝一番のティショット。初戦はゴルフでも大事です」(丸山さん)
「ビビってどうすんねん!?」鏡の自分に活を入れ、恐怖を断つ
丸山 野村君はまもなく始まる東京五輪の東京2020聖火リレー公式アンバサダーを務めるんだよね。
野村 3月にギリシャ国内でスタートする聖火リレーに聖火ランナーとして走行、その後、聖火を日本に運ぶ役目を担います。
丸山 さすが男子柔道60キロ級で、五輪三連覇を果たしたオリンピアン。
野村 まさに大役。聖火は五輪のシンボルですから光栄に思います。
丸山 僕らが出会ったのは10年程前だよね。僕の野村君に対するイメージはまさに“侍”(笑)。
野村 一度だけ一緒にラウンドさせて頂きました。膝の怪我もあって頻繁にできませんが、ほんと楽しかったです。
丸山 現役時代はタイガー・ウッズ並みに何度も大手術しているよね。当時習慣にしていることはありましたか?
野村 試合前はあえて孤独な状況を自分でつくっていました。不安や恐怖、プレッシャーは誰とも共有できないものだから。
丸山 ゴルファーにもいます、独自の世界観があって他人と交わらない人。僕は「こっちおいで」と誘われたら、柴犬みたいに尻尾プルプル振ってついていくタイプだけど(笑)。
野村 試合前日は不安やプレッシャーでほとんど眠れない。そして試合当日、初戦が始まる直前、弱気な自分と決別する儀式としてトイレで鏡を見ます。
丸山 ええ体しとるなあって?
野村 ええ顔しとるなあって(笑)。勝つ選手って“良い目”をしているんです。自分の目を確認しながら自分に問いかけるんです。「勝つために今までがんばってきたんやろ? ビビってどうすんねん!」と。そして顔をバチーンって叩いて恐怖を断ち切る。