仕事服の多様化、オーダーの活況、トラッドリバイバルなど様々な潮流が生まれ、今、スーツは大きな転換期を迎えている。2020年、スーツはどこへ向かうのか。ドレスウェアのご意見番に“一歩先”を語ってもらった。
(左)ユナイテッドアローズ クリエイティブ アドヴァイザー
鴨志田 康人さん
今季からポール・スチュアートのディレクターにも就任し、ますます活躍の場を拡大。カモシタ ユナイテッドアローズも世界から注目されている。
(右)ビームス クリエイティブディレクター
中村 達也さん
複雑化する昨今のドレスウェアを万人にわかりやすく提案する教授的存在。数年前から全国のビームス店舗でトークイベントも開催し大盛況。
M.E. 英国調に代表されるクラシック回帰が定着する一方で、イージーな機能ウェアも好調な現在、スーツの需要は二極化が進んでいると感じます。2020年には、スーツはどのような方向に向かっていくとお考えですか?
中村 数年前まで、日本においてはスーツ=ビジネスウェアという考えが一般的でした。しかしスーツ不要のビジネスシーンがかなり増えてきた今、仕事の制服的ではない“楽しむためのスーツ”の提案が目立ってきています。これからはそこがスーツの新しい可能性として広がっていくのではと思います。
鴨志田 それは同感ですね。皆がカジュアル化しているからこそ、逆にスーツの格好よさが際立ってきます。スーツ=ビジネスマンじゃなくて、スーツ=洒落心のある人というイメージですね。1970年代には夜遊びにスーツを着ていく文化がありましたが、そういったことが形を変えてこれから戻ってくるかもしれません。
M.E. なるほど。具体的にどういったスーツに注目していますか?