日米ディレクター2人のトークショーから紐解く
新生ポール・スチュアートの世界観とは?
ブリティッシュ・アメリカンなトラッドスタイルを代表するブランドとして知られるポール・スチュアート。昨年、創業80周年を迎えた同ブランドが2019年秋冬の、日本向けのコレクションから新展開に突入した。なんと世界のウェルドレッサーたちがその着こなしに憧れる、日本を代表するウェルドレッサー・鴨志田康人氏が、日本におけるディレクターに就任したのだ。コレクションの発表会にて行われた新生ポール・スチュアートとは? 鴨志田氏と同ブランド本国クリエイティブディレクターのラルフ氏とのトークショーを振り返りつつ、その世界観を探る。
「子どもの頃から”大人だなぁ”と憧れてきた」(鴨志田氏)
「鴨志田さんのスタイルは”エフォートレス エレガンス”」(ラルフ氏)
かねてからの知り合いで、ピッティでも毎回会って話をするという鴨志田氏とラルフ氏。今回の対談でも、お互いリラックスした表情で会話がなされていた。鴨志田氏は日本におけるディレクターとして就任した同ブランドへの想いをこう語った。
「ポール・スチュアートは高校生のときから憧れのブランド。’81年にこの青山店ができて足を運んだときや、30歳過ぎのときに初めてマディソンアヴェニューの本店を訪れたときも、他のアメリカントラッドのブランドとは一線を画す大人な雰囲気に圧倒されました。アメリカの純粋なクラシックではなく、ヨーロピアンな要素が混ざっているからでしょうか、洗練という言葉が最も合うブランドと言えます」(鴨志田氏)
そう語った鴨志田氏について、ラルフ氏は新コレクションの特徴とも言える鴨志田氏のスタイルの魅力を示唆してくれた。
「鴨志田氏は私が最も注目するウェルドレッサーの一人ですが、その魅力的な独自のスタイルには”エフォートレス エレガンス”を感じます。つまり、お洒落をしても頑張っているように見えないエレガンスがあるのです。非常にリラックスしているのにグラマラス。クラシックなスタイルの着こなしをするとどうしても堅苦しくなりがちですが、どこか自然体に見えるのです。そんな鴨志田氏にディレクションを手掛けていただけるのは、本当に刺激的で、私たちのブランドにとっても大変素晴らしい機会になるでしょう」(ラルフ氏)
確かに、店内にディスプレイされたコレクションも、ベージュやグレーの色味やニットの素材使いの妙など、随所からリラックスした大人の佇まいが感じられる。
「今回ポール・スチュアートに携わらせていただくにあたって、決してブランドを安易に若返らせようとは思っていません。私が憧れた大人のスーツスタイルを引き継ぎつつも、それだけでなく、リラックス感のある上質なカジュアルウェアを充実させることで、成熟した品格ある大人のためのコレクションを再構築できればと考えております」(鴨志田氏)
そんな大人らしくも寛ぎ感のあるコレクションとは実際どのようになっているのだろうか。ドレスとカジュアルウェア、それぞれの一部を紹介する。